「式」のための曲
オオシマさんの結婚式に呼ばれたのは今から15年ほど前だったでしょうか。披露宴の最初から最後までモーツァルトの曲を流すという趣向でした。新郎新婦ともモーツァルトが大好きで、曲を流すことはすぐ決まったようですが、どの順序でどの曲にするかはだいぶ揉めたと、のちに聞きました。
N先生のお葬式は無宗教のそれで、献花のあいだ、モーツァルトのレクイエムが流れました。カセットテープをラジカセで流すやり方でしたが、音がきれいに出ていなくて、亡くなった方に気の毒な気がしました。
私がこれから迎える式があるとすれば、それはケッコンシキではありません。子どもの結婚式はあるかもしれませんが、「私の」式ではありませんものね。
その「式」のために、今から備えて、音の悪くない音楽を編集しておくとしたら、何を選ぶか、ときどき考えます。自分で聞くことができないのだから、なんでもいいようなものですが、そこはそれ、出席してくださる方にサービスしたい、という見栄がはたらくのですね。というわけで、今日のラインアップを書いてみます。「最後の晩餐」の音楽版です。ほんのオアソビです。
①アンドルー・ロイド=ウェバー作曲「ピエ・イエス」:歌はもちろんシャーロット・チャーチ
②モーツァルト「後宮からの誘拐」のコンスタンツェのアリア:歌はエディタ・グルベローヴァ
③モーツァルト「レクイエム」の「レコルダーレ」:歌はエディット・マティス
④ドヴォルザーク「チェロ協奏曲」第1楽章:チェロはジャクリーヌ・デュプレ
⑤ベートーヴェン「交響曲第6番」第5楽章:指揮はブルーノ・ワルター
これもかけたい、あれも聞いてもらいたい、とみんな編集していたら、時間がかかりすぎて、編集が終わるより前に「式」のほうが来てしまいそうです。やはり、生きて自分で演奏を楽しむほうがいいようです。
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