ジュリエット
ヴェローナの街に「ジュリエットの家」という場所がありました。「ジュリエットのモデルが住んでいたと伝えられる家」というように、もってまわった説明がガイドブックには出ています。まあ、伝説のようなものでしょう。
この家の狭い中庭(といっても石畳、不自然に高い位置にバルコニーもあった)に、「ジュリエットの像」(銅像)が建っています。170センチくらいかなあ。その前で、それと並んで、かわるがわる写真を撮る人が絶えません。さわるとご利益がある、と伝えられて、頭のてっぺんがピカピカに磨り減っている布袋さんが、方々のお寺にありますが、この「ジュリエット」さんも、胸のあたりが、もとは薄絹をまとった像だったらしいのが、すでに裸身で、しかも、テカテカに減っていました。
アメリカ人とおぼしい高校生の団体が、群れをなしてジュリエット詣でをしているようでした。男の子たちは、おおっぴらに胸元をなでまわしていましたね。なにかご利益でもあるのかしら、と思ったことでした。
ところで、シェイクスピアが書いた「ロメオとジュリエット」の芝居で、ジュリエットの年齢はたしか14歳だったと思います。今なら中学生です。身を焼くような恋を少女たちはその年でするのですね。ミラノでもフィレンツェでも、その年頃のお嬢さんたちの、発育のいいことといったらなかった。もっとも、八百屋お七だって、それよりいくらも年上ではなかったですよね。
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