アリダ・ヴァッリ
イタリア半島はよく長靴にたとえられます。つま先が地中海を向いていて、それを引っ掛けたような位置にシチリア島がある。ふくらはぎにあたる部分のうしろの海がアドリア海です。長靴のひざの裏にあたるところにヴェネツィアがあり、向こう脛のあたりがローマです。
アドリア海をはさんだ対岸の国がクロアチア。女優アリダ・ヴァッリはクロアチア(その頃はイタリア領)で生まれました。1921年。2006年にローマで亡くなりました。享年86。
凄艶という言葉がピッタリの美人でしたね。たくさんの映画に出演しましたが、私が見たのは3本だけのようです。ただし、どれも映画史にながく残る作品です。
まずは、『第三の男』(英語、1949年、28歳)。ウィーンのプラーター公園だったか広い墓地だったか、向こうから決然と歩いてくる。恋人だったジョゼフ・コットンが道の脇で待っているのに目もくれずに歩き去るシーンが、ものすごく印象深いものでした。
『かくも長き不在』(フランス語、1961年、40歳)。ナチに連れ去られた夫アルベールとおぼしい記憶喪失の男がセーヌ川の岸に掘立小屋を作って住んでいる。アリダ・ヴァッリは酒場を経営している。記憶喪失の男とその酒場で踊るダンス・シーンがよかった。去っていく男の背中に向けて「アルベール!」と声をかけると、一瞬男が肩をすくめます。ただしそのまま悲劇的な結末へ向かう。
『夏の嵐』(イタリア語、1954年、33歳)。原題は「官能」という意味だそうです。オーストリア軍に占領されたヴェネツィアが舞台。ヴァッリの演じたのは多分貴族の奥さんだと思う。なんと占領軍の若い将校フランツに恋をしてしまう。フランツは心変わりをして別の女のところに走る。仮病をつかって軍を抜け出したことをオーストリア軍の司令官に告げ口します。その罪でフランツは銃殺刑に処せられます。ピストルの音が聞こえたとたん、「フラーンツ!」と絶叫するヴァッリの声があわれです。
何語でも演技ができるのはイタリアの俳優たちの長所なんでしょうか。モニカ・ベルッチのも、英語・フランス語・イタリア語、三つの言語で演じた作品を見ました。モニカのほうは、ととのった顔立ちの正統派美人ですが、『マレーナ』(イタリア映画)以外に心に残る映画がないような気がしています。

アドリア海をはさんだ対岸の国がクロアチア。女優アリダ・ヴァッリはクロアチア(その頃はイタリア領)で生まれました。1921年。2006年にローマで亡くなりました。享年86。
凄艶という言葉がピッタリの美人でしたね。たくさんの映画に出演しましたが、私が見たのは3本だけのようです。ただし、どれも映画史にながく残る作品です。
まずは、『第三の男』(英語、1949年、28歳)。ウィーンのプラーター公園だったか広い墓地だったか、向こうから決然と歩いてくる。恋人だったジョゼフ・コットンが道の脇で待っているのに目もくれずに歩き去るシーンが、ものすごく印象深いものでした。
『かくも長き不在』(フランス語、1961年、40歳)。ナチに連れ去られた夫アルベールとおぼしい記憶喪失の男がセーヌ川の岸に掘立小屋を作って住んでいる。アリダ・ヴァッリは酒場を経営している。記憶喪失の男とその酒場で踊るダンス・シーンがよかった。去っていく男の背中に向けて「アルベール!」と声をかけると、一瞬男が肩をすくめます。ただしそのまま悲劇的な結末へ向かう。
『夏の嵐』(イタリア語、1954年、33歳)。原題は「官能」という意味だそうです。オーストリア軍に占領されたヴェネツィアが舞台。ヴァッリの演じたのは多分貴族の奥さんだと思う。なんと占領軍の若い将校フランツに恋をしてしまう。フランツは心変わりをして別の女のところに走る。仮病をつかって軍を抜け出したことをオーストリア軍の司令官に告げ口します。その罪でフランツは銃殺刑に処せられます。ピストルの音が聞こえたとたん、「フラーンツ!」と絶叫するヴァッリの声があわれです。
何語でも演技ができるのはイタリアの俳優たちの長所なんでしょうか。モニカ・ベルッチのも、英語・フランス語・イタリア語、三つの言語で演じた作品を見ました。モニカのほうは、ととのった顔立ちの正統派美人ですが、『マレーナ』(イタリア映画)以外に心に残る映画がないような気がしています。
