おフランス | パパ・パパゲーノ

おフランス

 初めてヨーロッパに行ったのは今から34年前のことでした。羽田空港からの出発です。成田空港は、建設反対の運動が盛んでなかなか開港しなかったのでした。
 
 今のようにロシアの上空を飛ぶことができなかったので、まずアンカレッジへ行って一休みし(この空港で食べたうどんがうまかった)、北極圏を飛び越してヨーロッパに入りました。アムステルダムのスキポール空港に降りたのだったと思います。帰りは、ローマから南回りでした。各駅停車のような飛び方で、カイロ、バンコック、香港で客を降ろしながら帰ってきたと覚えています。


 ふらんすに行きたしと思へども
 ふらんすはあまりに遠く
 せめては新しき背広を着て
 気ままなる旅にいでてみん


という朔太郎の詩は、すでに知っていました。飛行機で行っても「あまりに遠い」場所でした。


 パリではカイロ・ホテル(フランス語だと「オテル・ケレ」と呼ぶ)という名前のホテルに泊りました。道路の向かい側に「ガルニエ書店」の出店があって、そこに並ぶ、黄色いカバーの本(ガルニエ・クラシックという叢書)を見つけて、「とうとう来たぜ」と意味もなく気持にリキミが走ったものでした。かすっただけのヨーロッパ勉強に終りましたが、出発点では強い「あこがれ」がありました。のちに赤塚不二夫という天才漫画家がイヤミというキャラクターに言わせた「おフランス」そのものでしたけれど。


 そのころは、外国に出るのがちょっとした覚悟が必要で、実際にはしませんが気分は「水盃を交わす」くらいの気持でしたね。子どもも小さかったですし。


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