運動神経
カルロス・クライバーの指揮ぶりをDVDで見ると(たとえば『カルメン』)、「運動神経のいい人だなあ」という感想が浮かびます。前へ前へと音楽を進行させる動きがそういう感じをいだかせる。内部のリズムやテンポがおもてに現われる現われ方が、音の流れに聞くものを上手に乗せていくのですね。オペラ・ハウスの興奮は、棒さばきを見ているといかにもそうなるだろうと予想させます。
運動神経が発達している、とか、運動神経がいい、という場合、スポーツがうまいということが多い。速く走ったり、高く飛んだり、遠くへ投げたりする能力が高い人をこう言います。
しかし、「運動神経」という名前のついた神経があるのではないそうです。脳から出た指令によって、ものをつかんだり、前へ進んだり、横へよけたりする筋肉の運動は、すべて、だれにでもある神経(首から下では脊髄神経)を伝わった結果の行動です。
してみると、「運動神経が発達している」というのは、「運動能力が高い」ということを言う他の言い方なのですね。
でも、クライバーの指揮を評して「運動神経の固まりだ」という人は他にもいますし、指揮が上手なのを「運動能力が高い」とは言いませんから、なにか、もう少し微妙な能力を表現したいのでこう言いいたくなるらしい。うまく説明はできませんけれど。
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