仰げば尊し
卒業式のシーズンですが、今でも「仰げば尊し」の歌は歌われているのでしょうか。歌詞は、次のようでした。文字使いはむかし教わったのと少し違うかもしれません。
仰げば尊し わが師の恩
教えの庭にも はや幾年(いくとせ)
おもえばいと疾(と)し この歳月(としつき)
今こそ別れめ いざさらば
互いにむつみし 日ごろの恩
わかるる後にも やよ忘るな
身をたて名をあげ やよはげめよ
今こそ別れめ いざさらば
朝夕なれにし 学びの窓
ほたるのともし火 つむ白雪
忘るるまぞなき ゆくとし月
今こそ別れめ いざさらば
まず語釈。
いと:たいそう。 疾し:速い。 今こそ別れめ:今日こそ、お別れしましょう。
むつみし:仲よくした《古語「むつぶ」から、おそらく》。 やよ:やあ《よびかけ》
つむ:積もる。
子どものころは、「いととし」が分からなかった。「糸」が「年」とはなんだろうと思いませんでしたか?
「今こそ別れめ」は、古典文法で言う「係結び」というものでした。「め」は「意志」や「推量」をあらわす助動詞の已然形。
ずいぶん複雑な歌詞なのに、なんども歌っているうちに、メロディーとともに口をついて出てきます。意味はあとで調べればいずれ分かりますから、いつまでも子どもたちに歌わせてもらいたいと思います。
係結びで思い出した季節の和歌。「ぞ」が係助詞ですね。
見渡せば柳桜をこきまぜて
みやこぞ春の錦なりける