発ガン物質
立花隆さんが『文藝春秋』4月号で「僕はガンの手術をした」という連載(?)を始めました。「同時進行ドキュメント」とうたってありますから、治療中の執筆です。膀胱ガン。医学にかんするルポもたくさん書いてきた人なので、分かりやすいのが助かります。何を書いても分かりやすい書き手ですが。
その記事の中に、内視鏡でみただけで(すなわち、バイオプシー〔生検=細胞を調べる検査〕なしで)ガンの診断をくだした北村先生の談話がいくつか出ていますが、こういう箇所があります。
《タバコは発ガン物質のデパートみたいなもので、六十種類以上入っていますから、あんなものもっと早く禁止すべきだった。……日本の場合それ〔タバコ〕より環境に無数にバラまかれている化学物質のほうがはるかに問題だと思っています。まず農薬ですよ。……それに自動車の排気ガス。あれがタバコと同じように発ガン物質だらけだ。……最近ふえているガンは、みんなそう環境毒素にかかわる〔毒素をこし取る生理的なフィルター〕部位のガンでしょう。膀胱以外にも大腸、肺、肝臓、みんなそうだ》
思わず長い引用になりましたが、ガンにかからないためには息をしないことが一番だ、という逆説的な事態がおきているということのようです。発ガン物質が必ずガンを誘発するのではないにしても。
タバコは、吸っている人がやめれば(受動喫煙ということをやかましく言う方もいますけれど)、まず、発ガン物質を遠ざけることができますが、排気ガスはそうはいきません。
ひと月ほど前、神田すずらん通りの東京堂書店で本を選んでいる立花さんをお見かけしましたが元気そうでした。しばらく書いたものを見なかったので、具合を悪くなさったのでなければいいが、と思っていたところでした。私がお見かけした時には、この文章からすれば、手術が終わってしばらくしてからだったのでしょう。相変わらずでっぷりしていましたけれど。
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