早春賦
この時期、かならず思い出す歌です。今日もラジオから流れました。
春は名のみの 風の寒さや
谷のうぐいす 歌を思えど
時にあらずと 声も立てず
時にあらずと 声も立てず
作詞・吉丸一昌、作曲・中田章、大正2(1913)年の作。吉丸は「故郷を離るる歌」(園の小百合 なでしこ 垣根の千草……)も作った人です。
作曲の中田章は、いま調べて初めて知りましたが、なんと、中田喜直の父上なのですね。喜直の名前は「ちいさい秋みつけた」「夏の思い出」「めだかのがっこう」ほか、数多い名曲とともに後あとまで残るでしょうが、中田章のほうは忘れられるかも知れません。この名曲を残したのですからもって瞑すべしか。
早春賦の「賦」は、中国古代の詩の作法の一つなのだそうです。「心に感じたことをそのまま歌う」という意味。この詩は、たんに、「早い春を歌う」というくらいの気持でしょう。
8分の6拍子のお手本のような曲ですね。メロディーでは、「なーのみーの」の、上のドのところが、今日聞いた東京児童放送合唱団の合唱でも、少し音程がフラットしていました。高い音程を、音が下がらないように保つのは、相当な訓練を積んだ人でもむずかしいものらしい。もちろん、私が歌うと、歌いながら気がついてしまうくらいフラットになります。
まあ、名バリトンで鳴らしたクルト・モルでも、世紀の歌姫レナータ・テバルディでも、高音の続くところでは、しばしばフラットになりますから、そんなもんだと思っておけばよろしい。
早春賦の歌碑は日本中に4か所あるそうです。安曇野にあるのが、よく知られたもののようです。
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