それを言っちゃあ | パパ・パパゲーノ

それを言っちゃあ

 昨日は、エイ→アイとなる英語の訛りの話でしたが、東京の下町ことば(いわゆる「べらんめえ」)にもいくつかの特徴があります。


 有名なのは「ヒ」と「シ」の区別がつけられない、あるいは、逆になる、ことがあります。NHKのアナウンサー適性試験みたいなものでは、昔、「日比谷発渋谷行き」を読ませてちゃんと「ひびや」「しぶや」と読み分けられるかを見たそうです。


 「アイ」「アエ」が「エー」に変ることがあるのも一つの特徴。


 たかい→たけー  はやい→はえー

 おまえ→おめー  てまえ→てめー


などがそれです。寅さんのせりふで、


 それを言っちゃあおしまいよ


というのがありました。これを、ときどき「おしめーよ」と発音する人がいます。実際には、渥美清がこういう発音をしたことはないと思う。響きが下品ですしね。小島よしおの「でもそんなの関係ない」も、当人は(ふざけるとき以外は)「関係ない」と発音しているようです。


 寅さんのせりふは含蓄のあるものが多いけれど、きわめつけはこれですね。ここにもアイ→エーが出てきますが、品の悪いほうは出てきていません。


 俺とお前は違う人間に決まってるじゃねえか。

 早え話が、お前がイモ食ったって俺のケツから屁が出るか


 これを初めて聞いたときには、大笑いしながらも、昔読んだ実存主義哲学のリクツが一言のもとに言い表されたと思ったことでした。