自分の子への呼びかけ
英語の映画を見ていると、ときどき、父親が自分の息子に対して「気をつけて行けよ、息子よ」などと訳せる言い方をすることがあります。「息子よ」のところが Son という呼びかけになっている。My son! のように「私の息子よ」という場合もあります。息子が、10歳でも、40歳くらいでもこういう言い方をします。
娘の場合も言うように思います。『ダイハード4』で、たしか、ブルース・ウィリスが、娘に向かって、My daughter と呼びかける科白があったように覚えています。
日本語では、まず、こういう言い方をしません。実際、日本語の字幕には、訳が出てこないか、きてもその息子の名前がはいります。
ところで、昨日落語の番組を見ていたら、吉原で遊んで来たらしい息子が、風呂屋からの帰りといつわって、父親に「おとっつぁん、ただいま帰りました。いい湯加減でした」と報告すると、親父が「おう、せがれか」と応じるところがありました。「せがれや、あんまり女を泣かせるものでないよ」みたいなせりふを、母親も言うことがあります。してみると、日本語でも、昔は、呼びかけの My son があったのですね。
ブラームスだかシューベルトだかの「子もり歌」の訳詩に、「ねーむれ ねーむれーねむれ わーが子よ」というのがあって、さして違和感を覚えませんから、詩のことばでは「わが子よ」という呼びかけもオーケーということなのでしょうね。