比較級・最上級 | パパ・パパゲーノ

比較級・最上級

岩城宏之の『音の影』(文春文庫)を読んでいたら、ドイツ語圏のオーケストラのメンバーたちがする笑い話がいくつか紹介されていました。


 英語の時間に、形容詞の、原級・比較級・最上級というのを習いました。good better best とか、early earlier earliest とかいうの。ドイツ語にももちろんあります。


 「馬鹿な」という形容詞は、dumm dummer dummst となるのだそうです。(あとの二つに出てくる u はテンテンがつく、いわゆるウムラウト) ドゥム デュマー デュムスト、のようになる。


 それを、楽団の団員たちは、


 ドゥム デュマー テナー


と言うのだそうです。テナー(の歌手)は「何も考えないお馬鹿さん」というわけです。オーケストラの中では、トランペット演奏家がそういう位置にあるようです。そういえば、若い頃属していた合唱団でも、「テナー・バカ」と言いふらしていました。


 こんなことを言って遊んでいるのでしょうね。テナーのところにソプラノを入れたのは聴いたことがありませんから。もし、そんなことをアソビででもしたら大変なことになるでしょう。


 ルチア・ポップのパミーナ、グルベローヴァの夜の女王の組み合わせの『魔笛』(DVD)を見ながら書いています。荒唐無稽のきわみのような話ですが、音楽の一貫性と、歌い手たちの表現力によって夢の世界が出現します。


 岩城宏之のこの本も面白かった。文庫で読める他の本もおすすめです。筆の立つ指揮者を失ったのは本当に惜しいことです。