レム睡眠
カール・ヒルティに『眠られぬ夜のために』(岩波文庫)というのがありました。読んだ覚えはあるけれど忘れました。『幸福論』(同文庫)の1節で記憶に残っているのがあります。
朝、新聞を読んではいけない。1日のうちで一番頭が働く時間にそういう無駄なものを読むな。
という教えでした。ヒルティの本は今でも読者が多いと思います。多少、説教くさいところが受けているのかもしれません。この人の言うことを真に受けて実行したらずいぶん窮屈な生活になるなあ、と今なら思います。
「眠られぬ夜」というものをほとんど経験したことがありません。3年に一晩あるかないか。能天気に生きてきたということでしょうね。インテリのはしくれとしてはちょっと気恥ずかしいところもあります。
ただし、(とつなげるのもヘンですが)夢はよくみます。しかも記憶しているのが多い。夢の中で行きつけの温泉がある、ということは前にここにも書きました。
「レム睡眠」のときに夢をみる、ということが眠りのことを書いた本によく出てきます。レムは、Rapid Eye Movement の頭文字を並べたもの。閉じた目のなかで目玉が速くグルグルする状態なのだという。そのときに身体は休息している。「ノンレム睡眠」というのは、目玉が動かない状態。レム=ノンレムが90分単位で繰り返す、ということもよく聞きます。90分の倍数時間で目覚めるとスッキリするのだといいます。
それぞれの状態のときに測ると、脳波の性質や形状が異なっているので、アタマの中では別のことが起きているらしい、というところまでは分かっている。しかし、実際に何が起きているのか、それは分からないそうです。
酔生夢死という重宝な熟語があります。「酒に酔い、夢を見ているように一生を終える」という意味ですが、「有意義なことは何もしないで、ぼんやりと無自覚に一生を過ごすこと」という語釈(『明鏡国語辞典』)から聞こえてくる非難の響きなぞ気にするものではありません。