唇で触れる唇
金子光晴に、
唇で触れる唇ほどやわらかいものがあるだろうか
と始まる詩があったと思い込んでいましたが、ネットで検索したら、『ねむれ巴里』のなかに出てきたものらしい。しかも、「あるだろうか」ではなくて、「やわらかいものはない」となっていたようです。
記憶はこのようにアイマイなものですが、疑問形のほうがピッタリするような気持です。
恋人よ。
たうとう僕は
あなたのうんこになりました。
などとはじまる詩もあります。
『金子 光晴詩集』(岩波文庫)で、代表作を読むことができます。
『詩人』という題の自伝もおもしろいものです。前は、昭森社というところから全集が出ていましたが、いま入手しやすいのは、中央公論社の版です。新刊で手に入るか否かはわかりません。
詩もおもしろいのですが、私は散文を愛読しました。『日本人の悲劇』とか、『絶望の精神史』とか。
開高健が金子にしたインタビュー(『人とこの世界』所収、開高の全集は新潮社)が抜群によくできていました。