書斎の無い家 | パパ・パパゲーノ

書斎の無い家

 福原麟太郎(1894-1981)先生に、『書斎の無い家』(1964)というエッセイ集があります。ずっと、勉強部屋としての書斎を持ちたいと思いながら、ついに持たぬまま終わりそうだ、と「あとがき」に書いてありました。


 『チャールズ・ラム傳』『トマス・グレイ抄』などの専門書もたくさん著したし、のちに、著作集全12巻(研究社)が編まれるほど旺盛な執筆活動をなさった方ですから、蔵書はたくさん持ってらしたらしい。専用の部屋を持っても、いいところ書庫と呼ぶしかない、そこに机を置くことのできる空間を所有したことがない、とおっしゃいます。


 チャールズ・ラムに『エリア随筆』という、英語の粋を集めたような(と教わった)エッセイ集があって、そういう本があるということも、福原先生の本で知りました。身の程知らずに、原文に挑戦したこともあります。途中で挫折しましたけれど。


 壁面が天井まで本棚の書斎というものを持ちたいと、かねてから憧れてきました。そのスペースを私もまた確保することができなかった。このまま、一生を終わるのだろうなあ。


 明窓浄机で読むような本があるわけではありませんから、食卓兼用のテーブルでもよしとしなければなりませんね。読む時間がもっとも多いのは、行き帰りの電車内ですから、わたしの書斎は、常磐線・千代田線ということになりそうです。