鰯雲
今週の月曜日(10月22日)、12時半頃、東京神田一ツ橋近辺で空を見上げたひとは、何人くらいいるでしょうか。雲の見本帖を作るならぜひ入れたいほど見事な鰯雲が空に広がっていました。
きれいでしたねえ、見事でしたねえ、ハイ写真見せてくださいね。
と、淀川長治ふうに言ってみたくなります。写真は撮りませんでしたけれど。私は、たまたま出会ったハラダさんが教えてくださったので、見上げることができました。ありがとう。雲の形は、ほどなく崩れてしまいましたね。
うろこ雲も同じ雲の名前なのだそうです。なんと「鯖雲」とも言うらしい。なぜ、そう呼ばれるかについては諸説あるようです。秋の季語。白い雲のすきまから見える青空の色も気持ちがよかった。
鰯雲 人に告ぐべきことならず 楸邨
という句は、高校の教科書にも載っています。なにを秘密にしたいのでしょうね。教科書の解説では、戦時中の作なので、反戦的なことを訴えようとした、というように書いてあったと思います。
他人に告げてはいけないこと、と言ったら、恋の秘め事とか、返していない借金とか、ではないか、と言った人もあるようです。
鰯雲、と詠みだすと、後に続くのは、清爽の気に満ちた秋の気配ではなくて、なんだか、ちょっと鬱屈した人事的気分になる作者が多いもののようです。「妻がゐて子がゐて孤独いわし雲」(安住敦)なんて、いい句ではありますけどね。
本日も秋晴れのいい天気でした。一句も浮かびはしませんでした。つくづく散文的な人間であります。