かわいそうなミミ | パパ・パパゲーノ

かわいそうなミミ

 木原光知子(昔は美知子)さんの訃報に接して、おもわず「かわいそうなミミ」というフレーズが頭に浮かびました。ミミは木原さんのニックネームだったそうです。もちろん、私がその名前で呼んだなどということはありません。


 『ラ・ボエーム』のヒロインの名前がミミで、肺を病んでなくなったのと、オリンピック・スイマーがクモ膜下出血でなくなったのが、かさなってしまったのです。


 東京オリンピックの日本代表でした。美人で、泳ぎが上手で、前途は洋々としていたはずでした。


 日大に進んで、水泳部に所属したのではなかったか。どこかの雑誌のインタビューだったと思うけれど、こう発言したのをよく覚えています。


 練習のために1日に1万メートル(もっと長かったかもしれません)泳ぐのは苦痛でもなんでもない。せっかく一生懸命泳いだのに、ゴールで待っていてくれる男がいないのがつらい。


 痛切な響きがありました。結局、独身を貫いたのではないでしょうか。ほがらかな笑顔が素敵な人でしたね。