箸を持ち歩く人 | パパ・パパゲーノ

箸を持ち歩く人

 ひところ「マイ箸」というのがブームになって、割り箸を使わない人が増えたりしたことがあります。30年以上前、労働組合関係の泊りがけの討論集会だったと思うけれど、琵琶湖の近くのホテルで行なわれたのに参加したことがありました。


 そのときに初めて、「マイ箸」の実践者という人を見ました。森林が消えると、酸素の供給が少なくなり、地球の環境が悪化の一途をたどることになる、だから、ひとりからできる環境保護という触れ込みで、まずは、ワリバシを使うことをやめよう、というキャンペーンがはられました。それに乗った人々は少なくなかった。


 ワリバシは、じつは間伐材から作られるので、むしろ有効な廃物利用である、というようなことが言われ、いつの間にか、マイ箸持参の人というのを見かけなくなってしまいました。


 ところが、昨日の昼食を食べた「スヰートポーヅ」という餃子専門の店で相席になった40代くらいのサラリーマンが、やおら、黒い、おそらく漆塗りの箸をポケットから取り出して、「箸いらない」と、お盆に載っていたワリバシを返しました。久しぶりに見たので記録しておきます。


 なお、この店(神田すずらん通り)の餃子は、おすすめです。手ぶらで入っても大丈夫。小さな店ですが、大いにはやっているので、昼時は、店の前に並ばないと入れないことがあります。