大逆転 | パパ・パパゲーノ

大逆転

 昨日(14日)の将棋NHK杯戦は、久しぶりにワクワクしました。


 先手、羽生善治二冠、後手、中川大輔七段の対戦です。解説は加藤一二三九段。


 私が目にしたときは、すでに終盤で、羽生は、30秒の秒読みに入っていました。中川七段も、残り時間は2分。局面は、素人の私が見てさえ、中川断然有利と見えました。駒台にはたくさんの駒があるし、大駒の角がすぐにも成れるし、金の質駒はあるし。


 試合の途中で「参った」と宣言するのを、将棋では「投了」と言います。単に「投げる」とも。羽生がいつ投げるかが注目されました。解説の加藤九段も、「中川さんは一手勝ちだと思っているはずです」と言っていた。こういうときのプロは、ライオンが獲物を捕らえるときのように、慎重に、しかし確実に攻めていきます。最終局面は「詰めろ」とか「必死」という。勝ちを確信した様子の、ヒゲをたくわえた中川七段は、よく切れる刀を手にしたサムライのようでした。


 対する羽生二冠(と呼んで、八段とか言わない)は、裸同然になった自玉を、一歩ずつ、見ていても大丈夫かなあ、と思える方向に逃がしていく。何十手かの秒読みが続いて、ほんとうに息詰まる展開になった。一瞬、2二に銀を打って、中川玉に「王手」をかけました。中川七段は、その銀を金で取った。その瞬間です。「あっ、逆転しました」と、加藤九段が叫ぶように言いました。そこから先は、プロは間違えようがない。中川七段も、とった瞬間に詰みが分かったようでした。


 歴史に残る逆転劇のようです。くわしいところまでお伝えできる能力はありませんが、手に汗握る大一番を見ることができて満足です。