小島美子
【11月18日付記:コメント欄にあるように、とんでもない誤解をしていたようです。ご迷惑をおかけした方には心からお詫び申し上げます。先生から頂戴した学恩には変りありません。】
小島美子(こじま・とみこ)先生は、日本の民族音楽研究の牽引車ともいうべき方です。美子と書いて「とみこ」とお読みする珍しいお名前です。
テレビの民謡選手権のような番組で、審査員をしておられたこともあるので、白髪で丸顔の先生を覚えている方もいらっしゃるでしょう。
この先生のお書きになった本は、少ししか読んだことがありません。私が若い頃、編集にたずさわっていた雑誌に書いていただいた論文で、感銘を受けたものがあります。
沖縄に「カチャーシー」という手踊りがあります。両手を肩よりちょっとあげて、手のひらを返したり、腕を左右に動かすあの踊りです。私自身は、何の踊りであれ、まったくダメです。新宿の、広い板の間のある沖縄料理店によく行く先輩がいて、何度も連れていかれました。酒がまわってくる頃、さあ踊ろうとその先輩が声をかけ、他のお客さんも混じってカチャーシー大会になったものです。
沖縄出身の人は、女はもちろん、男でも、じつに見事に踊るのですが、わが先輩の踊りは、なんというか、盆踊りふうになってしまって、感じが違うのですね。
小島先生の解説によると、沖縄を含む南島(ポリネシアにまで至る)の踊りの、動きの基本は、船に乗って、重心の安定を取るように振りをつける、というものでした。膝の微妙な動きがあるかないかで、踊りの質が変わってしまうのが、この説明でよくわかったように思いました。
土の上での踊りと水に浮かんだ状態での踊りの違いを教えていただいたのです。今でもそのことに感謝しています。