ドン・ジョヴァンニ
たまたまベルリン国立歌劇場公演のチケットが手に入ったので『ドン・ジョヴァンニ』を見てきました。10月2日。東京文化会館。大道具・小道具がそっくり来たのではなさそうでした。透かしにもなるカーテンで場面を仕切っていたりします。オーケストラと合唱団と指揮者は、ベルリンからそっくり引っ越してきました。
4階の右、舞台の近く。席としてはよいとは言えませんが、値段を考えれば上々というところでした。
いつもは、シエピがタイトル・ロールの、ウィーンの名演CDを聞いています。音楽自体は、すみずみまでアタマに入っているつもり。ただ、今聞いている歌を、どの役が歌っているのかときどき分からなくはなります。
ソプラノは、ドンナ・アンナ、ドンナ・エルヴィーラ、ツェルリーナ、と重要な役が3人もいます。
主役のドン・ジョヴァンニはバリトンで、その従僕レポレッロはバス。ただし、この二人の歌うアリアの音域はそんなに違わない。ツェルリーナの結婚する相手マゼットもバス。それに、騎士長(石像になる、アンナの父)もバス。
テナーは、ドン・オッターヴィオ(アンナの許婚)だけ。
このたびの来日メンバーは、IIZUKA T's さんに聞いても、粒揃いだということでした。上にあげた役の歌い手たちが、みな素晴らしかった。音楽が流れている3時間の濃密なことといったらありません。羽根があったら、舞台まで飛んでいきそうになりました。
粒揃いの歌手たちのなかでも、このたび、とりわけ印象が深い歌いぶりは、レポレッロを演じた、ハンノ・ミュラー=ブラッハマンという歌手のものでした。つやがあって、伸びがあって、じつに耳にこころよい声です。
ダニエル・バレンボイムの指揮も鮮やかなものでありました。
来年のグルベローヴァの『ロベルト・デヴリュー』を聞くのを楽しみに、また、せっせと働くことにしましょう。