がんもどき
病気のがんについて、「がんもどき」もある、と書いたのは、近藤誠医師でした。慶應義塾大学医学部の先生です。もうすぐ60歳になるというお年ですが、いまだに肩書きは講師のままです。その事情を書いた本もあったようですが、読んではいません。
『患者よ、がんと闘うな』(文春文庫)で「がんもどき」ということばに初めて出会ったような記憶があります。食べるほうの「がんもどき」が、雁の肉に似た味がするけれど実は似て非なるものであるのと同様、「癌もどき」も、癌に似ているが癌ではないもの、のように理解してしまっていました。違うんですね。
近藤先生の最近作『がん治療総決算』(文春文庫)によると、がんもどきと呼んでいるのは、
(がんのうちで、)臓器転移がないか、成長速度がゆっくりであるために人を殺すことができないもの
のことでした。人を殺してしまうほうを「本物のがん」と呼んでいます。がんは、どうやって人を死にいたらしめるか、これについても、この本でよく分かりました。しこりを作る「固形がん」による直接死因は、
食道がん:食道が詰まって飢餓
肺がん:呼吸機能が低下して呼吸不全
大腸がん:腸閉塞になって飢餓、など
(同書45ページ)
とあります。がん自体が毒を出して殺すのではないのですね。なんとなく、それ自体がマガマガしいもののように思っていたのですが。
この本では、がんだと分かったときにどうすればいいかが、丁寧に書いてあります。読むとだいぶ気が楽になります。
がん検診でがんだと言われたとしても、症状もないのにあわてて手術を受けたりするな、というのは、『それでもがん検診うけますか』(文春文庫)に、たしか書いてありました。