アンナ・モッフォ | パパ・パパゲーノ

アンナ・モッフォ

 アンナ・モッフォ(1932-2006)は、アメリカ生まれのソプラノ歌手です。享年74は、惜しいことでした。


 いつも見ている、ウィキペディアでは、「一番輝いていた1960年代、彼女は声の清らかさと素晴らしい肉体の美しさとで大いに賞賛された」と書かれています。


 ある人が貸してくれた「マダム・バタフライ」のテレビ映画を見ることができました。1956年にローマのテレビ局が撮影したものです。その映画によって、彼女はオペラ歌手の名声をゆるぎないものにしたようです。白黒画面ですが、たしかに、美貌の抜きんでていることは一目で知られます。24歳の、まぶしいほどの別嬪が、「清らかな声」で、15歳から18歳までの蝶々夫人を歌います。眼福という言葉が思わず浮かびましたね。


 ところで、このオペラは、長崎が舞台ですから、日本風の部屋や日本人役が大勢出てきます。「日本」という漢字が大きな花瓶に書かれているのに、文字が上下ひっくり返っていたり、登場人物が、なんだか、中国人風の仕草をしたりもします。


 びっくりしたのは、婦人方が全員和服を左前に着ていることでした。当時の、日本に対する認識がその程度だった、ということでしょうが、せっかくの名唱・名場面が、ずいぶん色あせてみえたました。貴重な映像を見せてもらったことには感謝しているのですけれど。