闘うフィガロ
鈴木康司先生の作品『闘うフィガロ』(大修館書店)は、『フィガロの結婚』『セヴィリアの理髪師』という戯曲を書いた、ボーマルシェの伝記です。両作品とも、オペラの名曲になったことで、歴史に残りました。
ボーマルシェは1732年生まれ、1799年没。18世紀を走り抜けた鬼才だったということを、『闘うフィガロ』は活写します。貧しい家から身を起こし、美貌と才覚とで、社交界に進出し、のしあがっていく姿は、スタンダールの『赤と黒』の主人公ジュリアン・ソレルを彷彿させます。
アメリカの独立戦争を裏から援助したりもした、とあります。政治的な野心も旺盛な人物だったようです。
ヨーロッパは18世紀が面白いと、前から聞いていましたが、こういう人の生き方を見るにつけ、たしかにそうだと思わせられます。モーツァルトも、ゲーテも生きた時代でした。