さらば、夏の光よ | パパ・パパゲーノ

さらば、夏の光よ

 私の夏はいつも、西東三鬼のこの句で始まります。


 おそるべき 君等の乳房 夏来たる


 ことしの夏は、ことに、「君等」は露出がはげしくて、この俳句がうたう「生命力の勁さ」は後景にしりぞいた感がありました。


 そうして、秋風が立つようになると、


 さらば、短きに過ぎし われらの夏の 輝かしき光よ


という、ボードレールの詩句を思い出して、私の夏も終わりになる、というわけです。


 遠藤周作に『さらば、夏の光よ』という青春小説があるのだそうです。読んでませんが。それを原作にした同名の映画もあるらしい。郷ひろみ主演。


 遠藤は、フランス文学の研究者として出発した人ですから、ボードレールから借りてタイトルにしたのでしょうね。


 若くして亡くなった柏原兵三にも、似たような題の短編があったと覚えています。調べたら、「短い夏」というのが出てきました。それだったかもしれません。


 秋が深まると、ペギー・リーの「ローマの秋」、


 Autumn in Rome

 My heart remembers

Fountains where children played

Gardens where dreams were made


と始まる歌を思い出します。トニー・ベネットや、他にも何人もの歌手がレコードにした曲のようです。歌いだしは、

 

 ラーシード ミー


と、下から昇っていくのですが、Rome のところのミが、予想したのの半音下なので素人が歌うのは難しい。


  One lovely autumn in Rome


という、締めくくりの歌詞もメロディーも素敵です。サワダさんが教えてくれた歌です。