永さんとA3 | パパ・パパゲーノ

永さんとA3

 永六輔のラジオ番組「六輔、その新世界」(TBS、土曜朝8時半から)をよく聞きます。相手役の外山惠理アナウンサーのとぼけた感じが好ましい。


 永さんは、自分のことを「いです」と「え」にアクセントをおいて発音します。魚の「エイ」と同じように。ところが、外山アナウンサーも、他のゲストたちもみんな、「えさん」と、いわゆる平板アクセントで呼ぶのですね。


 紙の寸法を示す、A3に聞こえてしまう。A3というのは、A4版のコピー用紙の倍の大きさです。『文藝春秋』サイズの倍の倍。気になってしょうがない。永さんは、おそらくあきらめたのだと思います。いちいち訂正するのをやめたのではないかなあ。


 ついでながら、東京近辺でこの放送局の周波数は、954キロヘルツです。


 「きゅう ごー よん、きゅう ごー よん」と局のコマーシャル・ソングがときどき流れます。これは、「きゅう ごー しー」とは、たぶん絶対にならない。数字の4は、九九以外では、「し」と読まれることが少ないのですね。

 4×7=28 はかならず「ししちにじゅうはち」と読む。

 「赤穂四十七士」のような昔からある表現も「じゅうしちし」となる。もしこの番組でだれかが、これを「あこう じゅうななし」と読んだら、失笑を買うのは必至です。永さんだって、必ずとがめるはずです。他の場合でもことば遣いにはウルサイ方ですから。


 知ったかぶりを言えば、ことばについては、だれしも保守主義者です。規範主義者でもある。「正しい」言い方、書き方を求めるところにそれが現われますね。