家の作りやうは | パパ・パパゲーノ

家の作りやうは

 『徒然草』第五十五段にこうあります。


 家の作りやうは夏をむねとすべし。冬はいかなる所にも住まる。

 暑きころわろき住居は堪へがたき事なり。


 京都の夏の暑さは今でもものすごいものですから、昔も大変だったのでしょうね。夏に住みやすい家を建てるべきだという主張です。


 長いことマンション住まいでした。コンクリで固めてあるのですから、「夏向きに作った」家ではなかった。4階だったので、開け放しておくと風は通りましたけれど。いま住んでいる家を作るときには、とくに夏向き・冬向きは意識しませんでした。


 今ではエアコンがゆきわたっていますから、風が通らない家でも、この暑さをしのぐのに不自由はないのかもしれません。でも、冷房の冷気は、涼しいというより、骨まで冷やしているようで私は好きになれません。電気代も馬鹿にならないし、電力不足にもなりそうだし。


 というわけで、エアコンはあまりつけないで、窓を開けて、扇風機をまわして汗を吹き流そうとします。それでもまあ、暑い暑い。「今年一番の暑さ」と天気予報が毎日言っているような気がします。


 ドイツは、冬の寒さがきびしいので、冬がしのぎやすいように家を造るのだと聞きました。兼好法師がドイツに生まれていたら、夏ならどんな所にも住むことができる、と言ったかもしれません。