五番街のマリーへ | パパ・パパゲーノ

五番街のマリーへ

 8月1日に71歳で亡くなった阿久悠の作詞したヒット曲は数え切れないほどあります。ピンク・レディー全盛のころ、作曲家・都倉俊一と組んで、文字通り一世を風靡しました。


 同じコンビで作った歌で、当時、ペドロ&カプリシャスというグループが歌ったのが『五番街のマリーへ』という曲です。カラオケで歌う数少ない持ち歌のひとつです。当時(昭和48年)のボーカルが高橋まり、のちに、ソロ歌手になった高橋真梨子です。歌詞は覚えていますね。こう始まる。


 五番街へ行ったならば

 マリーの家へ行き

 どんなくらししているのか見て来てほしい


この、五番街というのは、何という都市にあるのでしょうね。一番有名な五番街と言えばニューヨークです。しかし、ここでマリーの家を探すのはまず不可能でしょう。エンパイア・ステート・ビルディングのあたりから、セントラル・パークのずっと先まで、10キロメートル以上にわたって、ぜんぶ五番街だったですから。


 もちろん、作詞家は、それを承知で、ニューヨークを想定していると思います。ちょっとバタくさい印象とか、むかしいっしょに暮らしていたところのうらさびれた感じとか、都会の中の都会ということで、ここを舞台に借りたものでしょう。


 起伏の少ないメロディーなので、表現力の乏しい歌手だと歌の気分を伝えるのはむずかしいところですが、高橋真梨子さんは、昭和を代表する歌い手の一人ですから、もちろん、情感あふれる歌い振りはみごとなものでした。(自分でカラオケで歌うときは、他の歌でもそうですが、歌った歌手になったつもりですから、十分に盛り上がることができるのです。)


 『ジョニーへの伝言』も、このコンビで、ペドロ&カプリシャスですから、ペアになっている曲のようですね。『ジョニー』もよく歌いました。