メザニン
劇場の中2階をメザニン mezzanine というのは知識としては知っていましたが、そこの席にすわったのは、この間の『ライオン・キング』の公演が初めてです。フランス語 mezzanine から入った語らしい。フランス語へはイタリア語メッツァニーノ(mezzanino) から。メゾ・ソプラノのメゾも中間という意味ですから、なんとなく見当はつきます。
舞台を、やや上の真正面から見ることになりますから、上等な席です。代金も高い。前に『ライオン・キング』を見たときは、2階のバルコニー席だったので、見るよりも、見られるための席みたいで、舞台の右端は見えませんでした。まるごと目の前に華麗な舞台が現出して、満悦でありました。
狂言回しの役をする、ラフィキという、呪術使いみたいな女の歌からこのミュージカルは始まります。途中休憩をはさんで、一気呵成に終幕にいたる展開は、このたびもまた、見事なものでした。
1階の席は、おおむね「オーケストラ」と呼ばれています。もとは、オーケストラと同じ平面に客席ができていたものでしょう。実際のオケ・ピットは舞台の下にもぐりこむようになっていて、指揮者だけが胸から上が見えていました。
1階の後ろのほうにミキサーの位置するスペースが広めにとってあります。マイクで拾った歌声を、客席全部に、ごく自然に届かせてしまう技術にも、毎度のことながら驚かされました。