シモン・ボッカネグラ | パパ・パパゲーノ

シモン・ボッカネグラ

 去年の今頃パリに行きました。泊ったホテルの目の前にオペラ座(バスティーユ)があった。ヴェルディの『シモン・ボッカネグラ』がかかっていたので見ることにしました。1万3千円くらいだったか。1階のオーケストラと呼ばれる席。指揮者の振る姿が見えました。


 初めて聞くオペラの上、話が何なのかも知らずに見たので、音楽の流れを追いかけるだけでした。日本語の字幕があるわけもなく、おぼつかないフランス語の字幕をたよりに、なんとかシモンと娘の再会の話のようだ、と見当をつけました。


 舞台は、現代の企業の中の権力争いのような演出です。出てくる男は背広を着ていたり、ジーパンをはいていたりする。あとで、メトロポリタンが録画したヴィデオを見たら、14世紀だかのスペインの話だったみたい。オペラを見に行くときは、予習してから行くべきですね。楽しみ方が違います。(これは歌舞伎を見るときにも言えます。歌舞伎は、今ではイヤホンガイドというものがあって、見るのに邪魔にならない程度に、しかし、的確に展開を解説してくれるので、じつにありがたい。)


 ただし、歌はどの歌手も素敵でした。オーケストラもよかった。序曲の出だしのメロディーが、初めて聞くのになつかしい感じがするのでした。


 幕あいにロビーに出たら、イブニング・ドレスに正装した婦人が何人もいました。和服を召した日本の婦人も見かけた。勝負の場所なのでしょうね。ガルニエのオペラ座のほうは、バックステージ・ツアーで見物しただけでした。劇場としてはこっちのほうがはるかにおもむきがあります。