ノッティングヒル | パパ・パパゲーノ

ノッティングヒル

 ジュリア・ロバーツとヒュー・グラント主演の映画『ノッティングヒルの恋人』は、ハリウッド・スター(ジュリア)と、しがない書店員(ヒュー)が恋仲になるという、ありえないような話でした。『ローマの恋人』を換骨奪胎したものですね。最後の、記者会見のシーンで、ああ、あれをパクったのかと気がつきました。


 ヒュー・グラントが、想いを断ち切れずに、街を歩くシーンを覚えていますか。左から右へ歩いていく。日が照ったり、雪が降ったり、季節の移り変わりを示しながら、通りを通過する仕掛けがちょっと面白かった。


 4年前、そのノッティングヒルへ行ってみました。1キロくらいの商店街。とくに素敵なお兄さんがいるとも思えない場所です。本屋さんも、骨董屋さんもありましたけど。


 食堂と呼んだ方がいいようなお店でお昼を食べました。イギリスに限らず、行ったことのある西洋の都市では、店のトイレはたいてい地下にある。同行した人が、注文してすぐに、トイレを使おうと下に降りかけたら、「ダメダメ!」とおかみさんに断られてしまいました。


 仕方がないので、急いで食事を終え、近くの「スターバックス」だったか、喫茶店に入って、トイレを借りられるか聞いてみました。ここもダメだという。商店街のはずれに公衆便所があります、と教えてくれた。球形のトイレです。そこで、スッタモンダがありましたけれど、別の機会があれば書きます。


 外国人労働者が入ってきたころ、排斥の動きがはげしくなって、「ノッティングヒルの暴動」ということが、ずいぶん以前にあったということは、もちろん、あとになって知ったことです。


 雑貨屋のおじさんとその奥さんが、誇らしげに、1週間後にあるお祭りのことを話してくれました。ぜひ見にきなさい、と誘ってくれましたが、次の日の飛行機に乗って帰らざるをえません。人がたくさん集まる時のトイレはどうするのかしら、と思ったことでした。