ハンス・ホッター
偉大なワーグナー歌手、ハンス・ホッター(1909-2003)の、ワグナーは、じつは聞いたことがありません。
ハンス・ホッターと言えば、私にとっては『冬の旅』の歌手なのです。
高校生のころ、アリエ先生のLPを聞かせてもらいました。第21曲「宿」の第3連3行目、
Bin matt zum Niedersinken
の matt のところ、フォルテで ma と歌い、一瞬の間があって、tt と続く。その間の、深淵をのぞくような感じを、50年近くたってもまだ覚えています。
その後、フィッシャー・ディ-スカウの東京でのリサイタルを聞いたこともあります。もちろん、すばらしい演奏会でした。当時(1965年頃)は、コンサートホールに楽譜を持参して「勉強」する人が少なくなかったようで、ページをめくる音がうるさかった。ディースカウは『冬の旅』を3回くらい録音しています。CDもよく聞きました。
去年たまたま、中古CD屋でホッターのCDを見つけた。昔むかし聞いた、そのLPがCDになったものでした。なつかしいのと、安い(800円!)のとで、即座に買い求め、iPod に録音しました。
アリエ先生はもうお亡くなりになりましたから、この曲をこの歌い手で聞きながら、昔日をしのんでいます。