津軽の子守歌 | パパ・パパゲーノ

津軽の子守歌

 40年くらい前、弘前出身のヒロシくんが歌ってくれた「津軽の子守歌」を紹介しましょう。


 歌詞を漢字・かな交じりで書いてみます。津軽方言も当然混じっているので、注釈を加えながら。


 ねんねこ ねんねこ 寝た子 へ【 「絵」の e ではなく、

                             「蛇」などの he 】

 寝ねば 山から モッコ【蒙古】 (く)らね

 アネさま 育てた 唐(から)猫こ

 抱いたり 負(お)(ぶっ)たり まま(飯) (か)せて【食わせて】

 それでも泣けば 山さ 捨てて 来(く)らえ

 寝ろじゃ やい やい やい


【ねんねこ ねんねこ 寝た子になさい

 寝ないと 山から 蒙古(のような恐ろしいもの)が来るよ

 お母さんが 育てた かわいい子猫ちゃん

 だっこしたり おんぶしたり ごはんを食べさせて

 それなのに 泣いたりしたら 山に 捨ててくるからね

 寝なさい 寝なさい やい やい やい】


というくらいの意味でしょう。 

 

 おしんのような娘が、小さな赤ん坊をおんぶして、歌ったのでしょうね。泣きやまない赤ちゃんに、おどしたりすかしたりしている歌詞です。おんぶしている当人だって泣きたいくらいなのですよ、きっと。


 メロディーは哀切をきわめます。五線譜で書けるソフトをまだ入手していないので、昨夜ワープロで工夫してみました。スラーの表現はできませんから、歌詞が伸びるところはそれだと思ってください。


 オクターヴを越えるのは上のだけです。上のだけ色を変えてあります。


○=2分音符  ●=4分音符 ▲=8分音符  ▼=16分音符
・=符点    §=4分休符


○ ●● |○ ●▲▲|○ ●▲▲|○・§|
ミーファミ |ラーシラシ |ドーシ |ラー |
ねんねこ  ねんねこー  ねーたこー へー


○ ●▲▲|●●●▲▲|●●●▲▲|○・§|
ドーミファミ|ララシラシ |ド ド シ ラー | 
ねーねばー やまからー  も こく らー ねー


●●●●|●●●●|●▲▲●●|○・§|
ド ド ド シ|ド ミ ド シ|ラ ラシ シ |ラー |
あねさま  そだてた  からーねこ  こー


●●●●|●●●▲▲|●●●▲▲|○・§|
ド ド ミ ミ |ラ ラ シラシ|ド ドシ |ラー |
だいたり   おぼ た りー ままかせー  てー


●●●●|●●●●|●▲▲▲▲▲▲|○ ●§|
ド ド ド シ|ド ミ ド シ|ラ ラシ ド ド|ラーミ |
それでも  なーけば  やまさ すてて く  らーえ


●・ ▼▼▲▲▲▲ |● ▲・▼ ○∥
シーラシ シラ ミ |シ シーラ シ∥
ねーーーろーじゃー やいやい やい∥


 アメリカのサンタ・バーバラという町に、英語教材の録音に行ったことがあります。休憩時間にスタジオのテラスで、この歌を(もちろん日本語で)、ナレーションを担当してくれたレズリーさん(30代なかば、おそらく子どもさんあり)に歌ってあげました。終りのあたりでレズリーさんの目から光るものが流れ出しました。それから2,3日して、別れの挨拶をしたら、彼女はハグをして、小さな声で歌のお礼を言ってくれました。ハグというものを、しかも女人と、しかもガイジンと、そのとき初めて経験しました。思い出深い歌なのです。