千の風になって | パパ・パパゲーノ

千の風になって

 「千の風になって」という歌は、秋川雅史というテナーが歌っていま大ヒット中のようですね。新星堂へCDをさがしに行ったら、入り口のラジカセから繰り返しこれが流れていました。


 この歌を最初に聞いたのは、「ハッピーたいむ」というアマチュア女声コーラスの二部合唱でした。2005年の夏のことです。そのときはきれいなメロディーだなあと思っただけでした。


 最近になって、ラジオやテレビでさかんに流れるのでいやでも耳に付きます。耳に付くついでに気になることを書いておきたくなりました。


 それは、歌詞(訳詩)のイントネーションとメロディー・ラインとが合わないところがある、ということです。いま、盛んに歌っている方々も気がついておられると思いますが。


 上は、詩の抑揚、下はメロディーをなぞったものです。


              

 私のお墓の前で な    でください

 

                  くだ

 私のお墓の前で なかない    さい


 「て」という接続助詞のところにメロディーのピークが来るのが気になるのです。


 もう1ヶ所、


      なーー 

 かーぜ       って


 も同様な違和感を覚えます。


 もっとも、江間章子作詞・團伊玖磨作曲の名作「花のまち」(1947年)でも、


       をー

 七色の谷   越えて


 となっていますから、目くじらを立てるようなことではないのかも知れません。

 けれども、こういうことに特別うるさかった山田耕筰なら、これはいけないとおっしゃったはずです。