魔笛というタイトル | パパ・パパゲーノ

魔笛というタイトル

 『魔笛』と言えばモーツァルトのオペラを指します。当たり前ではないか、なにを言っているのだ、とお思いですか? じつは、この語はこの曲しか指さない、究極の固有名詞なのですね。このことは、IIZUKA T さんがおそらく最初に指摘した卓見です。誰かが「魔笛」(まてき)と訳し、それが日本語で定着したもののようです。日本に古くからある横笛を「竜笛」(りゅうてき)と言いますから、訳語としてはそれに呼応して、素敵な響きがあります。


 原題の Die Zauberflote は、普通に言えば「魔法の笛」としか言いようのないタイトルですね、もともと。実際、英語では The Magic Flute と言うし、フランス語でも、La Flute enchantee です(独仏のつづりは、ウムラウトやアクサンを省略)。


 IIZUKA さんは、もうひとつ、『セヴィリアの理髪師』の「理髪師」も、他では使わない単語だ、と言います。「セヴィリアの床屋」でもよかった。慣れないからカッコ悪いけれど。


 『魔弾の射手』なんて、魔弾も射手も、このタイトル以外で見たことがない、とも。たしかにそうですね。


 今日は、IIZUKA T さんの発見(?)の受け売りを書きました。