泣かせる映画
日垣隆さんのメルマガ(有料)に「泣ける映画」という連載があります。最近号には、トム・ハンクスの『ターミナル』が上げられていました。「泣ける」と言っても、ずいぶん幅が広い。あの映画は、私は大笑いしながら見たので、この範疇には入らない。すばらしく上手にできた映画でした。
あやかって、私が泣いた映画を紹介しますね。
『黄色い大地』(陳凱歌〔チェン・カイコー〕・監督、1984年)
中国映画です。黄河の近くの、貧しい農家(といっても、文字通り「耕して天にいたる」荒涼たる畑!)の娘が、嫁に売られていく話です。八路軍の兵士が村にやってくる。延安から来たのですね。この兵士が、娘にとって、「希望」を体現した存在になります。結局、泣く泣く嫁に売られていくことになるのですが、逃げてやろう、と決心します。幸いな結末にはならないけれど。
兵士は、山村工作隊のような役目で、村々をまわって、民謡を採取したりもする。娘は、いつも歌っている歌を披露します。
多分、85年か86年に、サンケイホールで試写会があって、ウチダさんと一緒に行きました。配ったチケットが席の数より多かったのでしょう。階段に腰掛けて見物しました。
ハナシがかわいそうなのと、歌が哀切なのとで、途中からもう滂沱の涙でありました。ウチダさんは一つうしろの段にすわっていたのですが、もちろん、このオジサンが泣いているのに気がついたようです。見終わったら、彼女も目を赤くしていました。
これは、名監督・陳凱歌の初監督作品なのだそうです。撮影が張芸謀〔チャン・イーモー〕でした。DVDにはなっていないみたいですが、ビデオならあるんじゃないだろうか。まだご覧になっていないなら、ぜひどうぞ。
『マグノリアの花たち』(ハーバート・ロス監督、1989年)
WOWOWだったかで偶然目にした、ハリウッド映画。サリー・フィールドの娘を演じるのがジュリア・ロバーツで、ジュリアは子どもを産めない体なのに、無理して子どもを産んで、ほどなく死んでしまう。サリーの友達が、シャーリー・マクレーン、ドリー・バートンなどの芸達者たち。泣かせどころのツボをよく知っています。母親を演じるときのサリー・フィールドが大好きです。