ベートーヴェンのピアノ・ソナタ
明日の分を今夜書きますね。
ベートーヴェンは、 「月光」も「悲愴」も「熱情」も、じつによく聞きました。アシュケナージも素晴らしいけれど、何と言ってもバックハウスの演奏です。バルトークがピアニストになるのをあきらめたのは、コンクールでバックハウスと一緒になったからだ、と、いつか読んだことがあります。
神品とも言うべきなのは、「テンペスト」です。第3楽章、アレグレットで、
ミドシラー ミドシラー ミドシラー ミドラシ
と行くやつ。「走る(疾走する)悲しみ(tristesse allante)」という、小林秀雄がモーツァルトの音楽について、アンリ・ゲオンを引用して有名になった形容句があります。小林はおそらくバックハウスのこのピアノを聞かずに書いたのだと思いたいくらいです。