菜の花や | パパ・パパゲーノ

菜の花や

 けさラジオから蕪村の句と、人麻呂の和歌が聞こえてきました。


 菜の花や 月は東に 日は西に


 ひむがしの野にかぎろひの立つ見えて

 かへりみすれば月かたぶきぬ


 蕪村のは夕方、人麻呂のは朝の風景を叙したものですね。柄が大きくてどちらもすばらしい。


 そらで覚えられるのがよい歌だと思い込んでいます。その点で、五七五の定型句は覚えやすくて便利です。


 奈良七重 七堂伽藍 八重桜


 は、芭蕉でしたか。漢字だけを重ねてそよ風が吹く様が目に見えるようです。この句の読みは、


 ならななえ しちどうがらん やえざくら


 ですが、七の字が、音訓両方出てくるところもおもしろい。


 柳瀬尚紀さんは、最近出版された『日本語は天才である』(新潮社)の中で、七は「しち」と読もう、と強く訴えています。

 まさか、「赤穂四十七士」を「あこうよんじゅうななし」と読む人はいないと思いますが。