ミュージカル | パパ・パパゲーノ

ミュージカル

 今から30年くらい前、はじめてロンドンに行きました。チャリングクロスのゆるい坂道を登った先の劇場で見た『ジーザス・クライスト・スーパースター』の衝撃はいまでもはっきり覚えています。劇場を出たら、いま聞いた Jesus Christ, Super Star, Who are you, what have you sacrificed? というメロディーが口をついて出ましたから。そのとき、Let my people come! という、黒人霊歌をもじった、ちょっといかがわしい感じのミュージカルも見たけれど、それは記憶に残っていない。Her Majesty Theatre というところで『ヘアー』もやっていたのですから、そっちを見るべきでした。あとで映画をみて、なんという名作を見逃したか、と、残念でした。

 それ以来、評判のミュージカルを気をつけて見るようにしています。マーク・レスター主演の『オリバー!』も、映画で見て、朝の薔薇売りに始まる、もの売り(ナイフ研ぎ)たちの重唱から、合唱にうつる、クライマックスに感動しました。10年ほど前、ふたたびロンドンを訪れる機会があって、マチネーをひとりで見物しました。1階席の後ろのほうにすわっていたのですが、あまりのなつかしさに、涙が止まらなくなって往生しました。いまはもうやっていないらしい。

 劇場で見たミュージカルのナンバーワンは『ライオン・キング』です。というか、劇場でみたあらゆる演目のなかで第一です。ニューヨークのニューアムステルダム・シアター。半分くらいがズールー語の歌詞ですから、ダンスと歌が勝負です。舞台の色彩も素晴らしかった。劇団四季のも評判ですが、失望するかもしれないので、まだ見ていません。

 ミュージカル映画では、去年の『プロデューサーズ』がピカ一でした。『ドリーム・ガールズ』も傑作です。ジェニファ・ハドソンというかなりのボリューム(体重)のある歌手がうまいのなんの。アメリカン・アイドルというオーディション番組の3年前くらいに6番目だかで敗退してしまった人です。この番組(ケーブルTVのFOX)も目が離せません。