真夜中のプラットホームと鮮血 | 夢は小説家ですと本気で宣ふブログ

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文章の世界に魅入られた小娘が、妄想を書籍化しようと奮闘する日記。

 新橋駅に着くと、「お客様転落により運転を見合わせております」と電子掲示板が流れていた。派手なコートを羽織ったお姉さんが駅員さんに「いつになったら動くんですか?」と声を荒げていた。「もう動いていますよ!」と話す駅員さんの口調は少し乱れている。事務室から出てきた別の駅員さんがホームに走っていく。
 真夜中23時の新橋駅はざわめきに満ちていた。地下鉄の駅は当然ながら地下にある。私はプラットホームに降りていった。

 サラリーマンが倒れていた。すこし太り気味のサラリーマンが横たわっている。担架にのせられて、伸ばされた左手は手首のあたりから血が流れていた。鮮血に目を奪われながら、違う場所からホームに降りようとまた階段を登った。
 別の階段を降りるとレスキュー隊が駅員さんに先導されてわらわらと降りてきた。
「どこだ! いないじゃないか!」
 ホームには何人か姿があったが、「もっと後方車両にいましたよ」と教える人はいなかった。電車を待つサラリーマンが「手、大丈夫なんですかね?」なんて話題にしていた。
 アナウンスが流れる。
「お客様転落のため運転を見合わせておりましたが。再開しております。まもなく参りますのでもうしばらくお待ちください」
 電車は7分ほど遅れたが、通常通りにやってきた。

 サラリーマンが血を流して倒れているのを見た。だがどうだ、多くの乗客にとってそれは他人事で対岸の火事で、ブラウン管の向こう側の出来事だ。
 異様な光景だった。きっとそれは多くの乗客にとって迷惑な出来事だった。