「おはよう」「おはよう」朝の通学路には「おはよう」の言葉が溢れているのが常で、春休みだから人のいない校門前というのは変な感じがした。
新入生を迎える前だというのにせっかちな桜はもう満開で、風が吹くたびに花弁を散らしている。
学校に来なきゃいけない理由はなくて、でも来たい理由はあった。
門を入ると聞こえてくる野球部の声に耳を澄ました。春の大会が近いのだ。この声の中に、私の好きな人がいる。
春の空気を吸い込んで、入り口を目指す。私の学校の入口は運動場に面していた。門を入って左折すると運動場が見えてくる。白い練習着が輪になって走っていた。
「頑張って」
小さく呟きながら下駄箱に吸い込まれていく。
☆☆☆
職場につくまでの突発短編。
恋をするには暖かな季節ですね。