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解説: 誘拐犯の女と誘拐された少女との逃亡劇と、その後の二人の運命を描いた、角田光代原作のベストセラー小説を映画化したヒューマン・サスペンス。監督は、『孤高のメス』など社会派エンターテインメント作品で定評のある成島出。誘拐された少女の大学生時代を井上真央が演じ、愛人の娘を誘拐する女性に永作博美がふんするほか、小池栄子や森口瑤子、田中哲司など実力派俳優が勢ぞろいする。(タイトルの「蝉」は、「虫」に「單」が正式表記)
あらすじ: 子どもを身ごもるも、相手が結婚していたために出産をあきらめるしかない希和子(永作博美)は、ちょうど同じころに生まれた男の妻の赤ん坊を誘拐して逃亡する。しかし、二人の母娘としての幸せな暮らしは4年で終わる。さらに数年後、本当の両親にわだかまりを感じながら成長した恵理菜(井上真央)は大学生になり、家庭を持つ男の子どもを妊娠してしまう。
 
テレビドラマを観て~原作を読んで~映画に。
ひさしぶりに 正しい日本映画が観れた思いを(^^♪
 
ここには オトコという生き物の存在はないような。そもそもの元凶は、秋山丈彦さん(田中哲司)なるオトコなのですが、お話としては 丈彦は蚊帳の外、似たような岸田さん(劇団ひとり)も ふわふわ浮いているだけ、単なる浮遊物、ひたすら お話は オンナの世界に突き進みます。
 
永作博美さん(野々宮希和子役)が、神がかり風に素晴らしいのです。
誘拐するつもりではなかったのに 希和子に微笑みかける赤ん坊に魅せられ、思わずというシーンからして。
ラブホテルの一室で 泣き止まない赤ん坊を前に 自分を忘れてみだれるというシーンは、カメラの非情さもあいまって、おそろしいぐらいの リアルな情景に。
 
そして
 
薫の名付けられた 恵理菜(渡邉このみ=井上真央)との 船着場での 別れのシーン。(涙涙涙~)
 
「その子は ごはんを まだ食べていないの~」の叫び~
その瞬間、希和子は ほんとうの母になり、また そこで母役を終えます。
 
井上真央さんの 屈折した表情もよろしいのですが、ルポライターとして 恵理菜に近づく小池栄子さんが また素晴らしい。大きな体を 折り曲げるように、おどおどとぶしつけに、至上の助演っぷりです。
 
余貴美子さんのエンジェルさんが、素敵なアクセントに。流れ流れて 暖かい小戸島での 風吹ジュンさんの 微笑にも。
そして このみちゃんの無垢な眼差しに(^^♪(^^♪
 
いくら犯罪行為とはいえ、どうしても希和子さんに 思いが入ってしまう流れなのですが、考えてみれば 浮遊物のような旦那を持ち 子供を誘拐され 戻ってきたら子供はなつかないという 恵津子さん(森口瑤子)の哀しみも またせつないものが。
 
「お星様の歌唄って」って云われても~「見上げてごらん夜の星を」だったとは~(^_^.)
 
奥寺佐渡子 脚本、成島出 監督。
ていねいに まっとうに つくられた日本映画として 心に残したい作品です。小豆島の あのお祭り情景の美しさに。
ありがとう と。
 
2011.5.4 津 マイカル ★★★★☆ 連休中 ほぼ満席
 
テレビドラマのほうにも 触れておきたいのですが、昨年 例の「MATHER」と同時期にNHKで放送されたもの。浅野妙子脚本・壇れい主演。原作にはない 小戸島で母子に思いを寄せる文治という漁師さんが 出てきます。この役を 岸谷吾朗さんが まぁせつなく演じていて、出色でした。
それ以外は ほぼ原作とおり、名古屋でのうさんくさそうなおばさんに 倍賞美津子さん、エンジェルさんには 藤田弓子さんが。
 
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あの時 船着場で あのひとは なにか叫んでいた~あれはなんて叫んでいたんだろうということで、恵理菜(北乃きい)が ライターとともに小豆島を尋ねるという流れになっていて 岡山の船着場の売店で働く 希和子と 知らず知らずに遭遇するというラストが 心地よい余韻となっていました。