
所用あって ひさびさの名古屋、隙間に訪れた シネマスコーレ午後1時20分上映の「キャタピラー」。
ここは 50席ほどのミニシアターなのですが、いやはや 暑い最中 満席以上の熱気~普段は地方シネコンでのわたしとしては、さすが名古屋~若い人はちらほら ほとんどはわたしも含めて熟年層が~その雰囲気に唖然~。
一銭五厘の赤紙1枚で召集される男たち。シゲ子の夫・久蔵も盛大に見送られ、勇ましく戦場へと出征していった。しかしシゲ子の元に帰ってきた久蔵は、顔面が焼けただれ、四肢を失った無残な姿であった。村中から奇異の眼を向けられながらも、多くの勲章を胸に、“生ける軍神”と祀り上げられる久蔵。四肢を失っても衰えることの無い久蔵の旺盛な食欲と性欲に、シゲ子は戸惑いつつも軍神の妻として自らを奮い立たせ、久蔵に尽くしていく。四肢を失い、言葉を失ってもなお、自らを讃えた新聞記事や、勲章を誇りにしている久蔵の姿に、やがてシゲ子は空虚なものを感じ始める。敗戦が色濃くなっていく中、久蔵の脳裏に忘れかけていた戦場での風景が蘇り始め、久蔵の中で何かが崩れ始めていく。(解説より)
若松孝二監督とは、ピンク映画時代 そうそう「血は太陽よりも熱い」(66)以来のおつきあいであはありますが わたしが感ずるところは、永遠に男と女をえぐる監督さんなんだというイメージで、前作の「あさま山荘への道程」では 永田洋子さんのエロっぽさに魅了されたわたし、この映画も 「戦争」がどうのこうのというテーマは別にして そこにいたのは「男」と「女」でしたという きわめて簡潔なお話だったように~。
冒頭から流れる 戦時中の映像から、「大本営発表」メッセージ、そして銃後の守りに徹する人々、天皇・皇后の肖像写真、まぁ このような展開は 陳腐なほどに今まで流れたわけで、「戦争を忘れるな、これが戦争だ・・」といった表向きのテーマなら、NHKスペシャルの戦争回想もののほうが よほどココロにしみるものがあります。
この映画は あくまで「男」と「女」、「夫婦日常」の極限を画いた作品のように思えます。
(「キャタピラー」というと作業道具らしい言葉のようですが、意味は「毛虫」とか~)
「介護」という美味の言葉でたどり着く世界の残酷さ、「軍神」という美味の言葉でたどり着く世界の残酷さは、おんなじ世界なのでは。
寺島しのぶさんは シゲ子さんは、今を演じてるようにも~「軍神」様をリヤカーに乗せ 一見誇らしげに しかし別の意味合いを込めて 誇らしげに~。
わたし シゲ子さんには、うんうん そうそうと けっこうクスクス笑いながら がんばれがんばれと応援してしまったんですが~周りは なにやら不謹慎風な雰囲気で(^_^;)
玉子を「軍神」様にぶつけ お互い玉子まみれになりつつというシーンが なんともせつなすぎました。
戦争に名を借りた、夫婦の愛憎秘話でした。心底 深い~。この映画は 「今」 この「今」の映画です。(~o~)
2010.8.25 名古屋 シネマスコーレ ★★★★☆