ようやく朝晩涼しくなり、やっと一息つけるようになりましたね。
準備を要する臨時の仕事が入り、ロビロバ本はちょっとこのところお休み。でもこの仕事を終えればまた、勿論再読しますよ〜笑。
と言いつつも気分転換に、気になっていた映画「ロケットマン」、ちゃっかり観てきました。(まだ観てない方、これから観ようとされる方、ほんのすこーしネタバレあります、ご注意!)

おっと受け狙い、ごめんなさい
ではなくて、もちろんこちら笑。

エルトン・ジョンはそれほど聴き込んだミュージシャンではないし、
そもそも実はミュージカル自体好きじゃないんです、シリアスな場面で突然歌い出すあの感覚にどうもついていけなくて笑。とは言えゲイとしてのエルトン自身の人生に興味があったのと、やっぱりあのボラプと同じ監督ってのがなんといっても、やはりこれは観ておかないとって気に、、なりますよね?私はココ大きかったです笑。

ドラッグアディクトやアルコホリックなミュージシャン、アーティストの映画は沢山あり、もはや目新しくもなんともないんですが、そうは言ってもそういう人たちは決まって孤高の人であり、屈折していて、カッコつけた言い方をすれば、人間の根源的な存在そのものに疑問を持ち、それと格闘してもがいている人、のイメージが私の中にあるんですよね。そして例外なく強さと弱さを併せ持った人なんじゃないかと。

その苦境に負けてしまう人、そうでなく打ち勝つ人、どちらを選んだにしろ、平凡な人生からは到底窺い知れないものがそこにはあり、やっぱりそれは抗し難い魅力があるわけです。もちろん平凡な人生にだって苦境や挫折は当然ありますけど、まあちょっとスケールが違いますよね。
で今回のエルトン・ジョンのストーリーは、そういった類の典型例。

父親と母親から愛情を受けることのなかった生い立ちから、ロックに出会い嫌いだった自分自身を回復させるまでを、敢えてミュージカル仕立てにしたデクスター・フレッチャー監督、あるいはエルトン自身の意図はなんだったんでしょう?

ボヘミアン・ラプソディの場合は何と言ってもそのドラマ性が、非常にリアルで、私たち観客を魅了しましたよね?あれがもしミュージカル映画だったらどこか非現実感は拭えなかったと思うし、あそこまで気持ちが入り込めなかったと思うんです。しかしフレッチャー監督は今回敢えて、ファンタジー感満載のミュージカル映画にした。あるいはもしかしたらそれはエルトン自身の意向が強く反映されていたのかもしれませんが。

結論から言って私としては、それでもよかったのかな、と思います。
エルトンのあのケバくてキッチュなコスチュームは、もうそれ自体エキセントリックで非現実的だし、あのエネルギッシュなピアノも十分ミュージカルにフィットすると思うんですよね。

もしこれをドラマやドキュメンタリー風にすれば、救いようのない、ありきたりな暗いストーリーで終わってたかもしれません。で、やはりそういうのってエルトンと、彼の音楽に似合わない気がちょっとするんです。(ちなみにクラプトンの場合はドキュメンタリーにして正解だったと思うんですが。)

実の母親から(ゲイであることに対し)「あなたは孤独な人生を選んだのよ、まともに人に愛されることなどないでしょう。」とか「あなたの母親である事でどんなに失望したことか」みたいなことを面と向かって言われるんです。
自分を愛せよったって無理な話ですよね、。これではどんどん自分を嫌いになる一方でしょう。
有名になってどんなにお金が入っても本物の愛を手に入れられず、アルコールとドラッグに溺れ、派手な衣装に身を包み、ステージ上で道化を演じる、その繰り返しな日々。素晴らしいバラードを沢山作った背景にこんなシビアな現実と闘っていたんですね、。
エルトン役のタロン・エガートン、ボラプの時のラミ・マレックは確か吹き替えだったと思うけど、彼は実際に歌ってるんです。もう見事なエルトンの再現でした。

全体的に物語そのものはミュージカルにした事もあり、深く印象には残らなかったのが正直なところ。
最後の最後にエルトン自身が禁酒に成功し、もう28年間酒を絶っている事や本物の愛を手にし、同性婚をしたことがスクリーンにて紹介されて映画はエンドロールになるのですが、私が最も印象的だったシーンは、その少し前、タロン演じるエルトンが、幼少時の(子役が演じる)エルトン本人に、両親から決してされたことの無いハグを求められ、それに応じたシーン。
ここでおそらくようやく今まで否定し続けてきた自分を受け入れる事が出来たのかな、と感極まるものがありました。

この映画、人それぞれ見方が違うと思います。もしかしたら特にエルトンのファンでもなく、あるいは自分を否定などした事のない、どちらかと言えば自信家な人(実際結構いますからね、こういう人。)にはこういう映画ちょっと向いてないかもしれませんね。まあ好き嫌いが分かれるのは間違いないでしょう。
で、こちら。

映画館で貰ってきたチラシの裏ですが、もうお分かりですね?太宰治の人間失格です。何だかちょっとエルトンに通じるもの、ありませんか?こじつけかな、笑。
来月公開だそう。もっちろん私、これ観に行きますよー。今から楽しみ笑。

それではエルトンとタロンが、おそらくこの映画のために作ったと思われる最後のエンドロールで流れた印象的な曲を。「I’m gonna love me again」僕は再び自分を好きになる、でしょうか。ナイスタイトルですね!
それから懐かしい二曲「Good bye yellow brick road」と「Daniel」を。