映画、私はかなり偏ってて好きなタイプのものしか見ないので、決して
映画通とは呼べません。しかも昔と比べると圧倒的に映画館に足を運ぶ回数も少ないのが実情。
ただ若い時に仲の良かった友達ふたりがかなりな映画通で、結構その影響を受けました。
1人は地元のシネマクラブに所属していて、おすぎを招待しシネマトークを開催したりした人。そしてもう1人は当時香港映画に夢中で、高じて香港まで留学してしまった様な人です。
まあそんな彼女たちの影響を受けて、その頃は私も結構映画観てたんですけどね〜。
当時特に好きだったのはWアレン。(この人は好き嫌いがかなり分かれそうですが、。)
彼は病的な?までの神経症気質を映画作りに昇華した奇才だと思うんです。おそらく私の中の
不安神経症的なアスペクトが刺激を受け、グイグイ引き込まれていったんだと思いますけどね。
実はハンドルネームも当時(あくまでも当時。 笑)最高にオシャレで、ファッションも真似したくなったアニーホールから頂きました笑。
おしゃれな美女ダイアンキートンと、冴えないウディのコントラストがなぜか絶妙。マシンガントークな会話がもうとにかく最高でしたね。ちょっとサリンジャーのフラニーアンドゾーイを彷彿とさせます。当人たちは必死なのに噛み合わなさすぎる会話、。あの本読んだ時の読後感と私の中ではなぜか似てる気がします
あれから時はたち、忙しすぎていつの間にか映画をあまり見ない日常が普通になってしまっていたのですが、再びまたレンタルビデオ店通いをしてます。
で、前置きが長すぎ てしまいましたが、久々に?最近途中で寝てしまわずに最後まで観た映画のひとつが、ジム・ジャームッシュのストレンジャーザンパラダイス。ストーリーとかは少々曖昧でも、あの独特の雰囲気が確実に私のタイプ! と言うことでもっと彼の作品を見たくて、借りてきたのがパターソン。
う〜ん、大体傾向が掴めてきた、笑
これは人によってはただのつまらない映画になるかも。なにしろ起伏がないです笑
でも飽きずに最後まで見られるのは、ジャームッシュのセンスの良さかな?説明するのは非常に難しいのだけど、同じテーマで他の監督が取り組むと結構きついかな、と思います。(と言うかきっと取り組まない?!)邦画だとテーマは全違うけど、やはり最近観た是枝監督の、”海よりも深く”もこれと言った盛り上がりもなく淡々としている、しかし味わい深いという点で似ているかも。
主人公はバスの運転手。朝起きて妻にキスをし、定時に出勤帰宅。基本その繰り返しの一週間を描いているだけなのだけど、(それだけを映画にしてしまうというのもなかなかすごい!)
ただ、なんと言っても、彼が日々詩をしたためている点が、全編単調な映画にポエティックな彩りを添 えていて、深みのあるものになっている気がします。
日常のささやかな想いを、まるで俳句のように短文でノートに書き込んで行く主人公パターソン。(ファーストネームなのかラストネームなのかは謎。)その妻は是非出版すべきだと彼に勧め本人もok、とは言うものの、おそらく彼にとってはどうでもいいのだと思います。無欲、
無心。
単調な仕事の中にも例えば、乗客の会話にクスッとしたりもする。もしかしたらそれも詩を創作するのに、役立っているのかもしれませんが。そうやって仕事も含め瞬間瞬間を自分なりに充実させて、何物にもとらわれず、愚痴らず、日々を淡々と生きて行く様を観ていてふと思ったキーワードが、”禅的”生活。彼とは全く反対な同僚が、挨拶がわりに自分や家庭の愚痴ばかりこぼしていましたが、これなどもう、禅的とは対極をなしてましたね、笑。
ジャームッシュ監督自身仏教の影響を少なからず受けたようなので、もしかしたらそういう視点でこの映画を作ったのかな??
そう言えば、関係ないけど、かのスティーヴ ジョブズが仏教に傾倒していたのも有名な話ですよね。
さて、10歳くらいの女の子との会話で、お互いがエミリーデイキンソンが好き、なんてシーンもよかったです。人生の大半を生家の自室で過ごし詩を書き続けた、生前は無名の天才詩人。さり気なくそんなところでも、パターソンの(あるいは監督の?)趣向が知れた様な気がしました。
この映画観て思ったのは、まあ平凡も悪くないなって事。そして、、禅的笑。
以前買って結構影響をうけた禅についての本。読んだ時はその気になるものの、油断すると日々、過去や未来につい思考が行ってしまい、悔やんだり落ち込んだり、あるいは人の評価が時に気になってしまう修行不足の私に、今を生きろよ、となんだか喝を入れてくれた様なこの映画。モリー先生の講義とともに、大切なものになりそうです。
(※モリー先生、長々とかけて書いた割には全くまとまっておらず、一部削除したい気分ですが、まあこういう実力不足な自分も許すことにします笑)
今回はちょっとジャズりたい気分。トランペット奏者なんだけど、ジャズ歌手としても希有な才能のチェットベイカーのアルバム:“ Chet Baker sings”から二曲程。