Twitterでとても話題になっていた舞台、「骨と十字架」。
東京公演楽日の前日のチケットが運よくぴあに残っていたので行ってきました。
脚本は野木萌葱さん、演出は小川絵梨子さん。
出演は神農直隆さん、小林隆さん、伊達暁さん、佐藤祐基さん、近藤芳正さんの5人です。
HPより、あらすじ↓
進化論を否定するキリスト教の教えに従いながら、同時に古生物学者として北京原人を発見し、一躍世界の注目を浴びることとなったフランス人司祭、ピエール・テイヤール・ド・シャルダンの生涯。どうしても譲れないものに直面したとき、信じるものを否定されたとき、人はどうなっていくのか、どう振舞うのか。歴史の中で翻弄されながらも、懸命に、真摯に生きた人々を描きます。
キリスト教の教えと相反する進化論に関する論文や講演を行ったことで、所属するイエズス会とバチカンから来た異端審問官から尋問を受けるシーンから始まります。
一応クリスチャンなのに、北京原人の発見にキリスト教の聖職者が関わってること知らなかった。。
登場人物全員がカトリックの神父なので衣装が詰襟に長袖、裾の長い真っ黒なものなのですが、きびきびと歩く時の揺れる裾の広がりとか、ストイックな服のラインに逆に色気があってキャストが全員そろった時などは思わず見惚れてしまいました。
特に主役の神農さんの180cm超の長身によく似合うし、真っ直ぐな背筋が美しい!
セットはずっと↓の固定で、これもまたお話の全てが凝縮された無駄がなく静かなデザインでとても素敵。(これはロビーにあったミニレプリカです)
ところどころに配置された蝋燭をつけたり消したりするのも光の揺らめきがいい塩梅でした。
なんとなく「女王様のお気に入り」の、当時のライティングを再現した室内の暗さと蝋燭に照らされる人物の表情が印象的だったことを思い出します。
基本的に話運びや台詞はとても硬く、少しでも気を抜くと置いて行かれそうになるのですが、主役のティヤールを慕う若い神父が、師を慕いながらも手助けをさせてもらえないもどかしさからティヤールの未発表の論文をバチカンに渡してしまう、その矛盾とか、研究を捨てられないティヤールを北京での発掘活動に誘う同じく学者兼神父のリサンの、ティヤールをどこか羨ましく妬ましく思っている愛憎とか、5人の登場人物それぞれの間に繋がる複雑な感情が、あからさまに、劇的に描かれている訳では
ないのに、とても生々しく伝わってきて、気づけばとても引き込まれました。
小林さん演じるイエズス会総長と、近藤さん演じる異端審問官の長年の腐れ縁っぽいやり取りもとても好き。
今アマプラで見られる「グッド・オーメンズ」の天使と悪魔みたいだったな。
リサンを演じる伊達暁さんのニヒルな佇まい(しかも眼鏡がまたいい)が特にツボで、白熱する議論に興味なさげに静かに煙草をふかす姿が色っぽかった。これはストライクな人多かっただろうなーと思いました。