私が日々接している
8歳の男の子(Aくん)がいます。
見通しがたたないことについて
不安が強くなることが多く
体の動きも
ぎこちないところがあって
運動全般は
あまり得意ではありません。
本を読むのが好きで
図書室によく行きます。
ある日
仲良しの1年生の子が
少し高い踏み台の一番上から
ジャンプしている姿を
Aくんは見ていました。
自分もやりたくなったらしく
踏み台に登ってみたのですが
「こわい、こわい」
と言いながら、
ゆっくり降りてきました。
私は、そこで
Aくんはもう
ジャンプをあきらめたんだろう、と
思っていました。
ところが、昨日
Aくんと私が
2人になったとき
Aくんは
「ぼく、あの台からジャンプしてみたい」
と言ったのです。
そうなんだ。
じゃあ、危なくないように
私が見てるからね。
私はそう言って、
Aくんが登った踏み台が
倒れないように
押さえていました。
すると、Aくんは
台の上でこんなふうに
言いはじめました。
「こわいな。
やっぱりやめる。
でも、できるかも。
ぼくは大きくなったし。
歯も抜けて、
大人の歯が生えてくるし。
いや、やっぱりこわい。
ドキドキする。
暑くなってきた。
落ちたら死んじゃうかも。
(いや、死なないよ、と
そこは私が突っ込みました)
痛いのはいやだな。
痛いかな。
◯◯くんは
どうしてあんなに飛べるのかな。
小さい子は
こわいのが分かってないのかな。
どうしよう。
やめよう。
やっぱり、飛ぼう。
こわいな。
(・・・以下、ほぼほぼくり返し)」
これをくり返すこと、
約10分間。
そろそろ休み時間が終わるよ。
飛んでもいいし、
やめてもいいし。
Aくんがどうするか決めてね。
私はそう言って、
じっと台を押さえていました。
そこから3分後。
Aくんは
踏み台から
ジャンプしたのです!
そして見事に着地!
そのあと
何度も何度も飛び上がって
「やった!やった!とんだ!」
と、喜ぶAくん。
そのときの
嬉しそうなAくんの表情は
これまで私がかかわった
半年の中で
一番輝いていました。
はっきり言って
その踏み台は
そんなに高くありません。
でも
Aくんにとっては
台の上でバランスをとることも
ものすごく目線が高くなることも
上から見下ろす床が
すごく遠く感じることも
飛ぼう、と考えただけで
胸がドキドキしてくることも
これまで
経験してこなかったことなのです。
以前は
そもそも
台に乗ろうとしなかったり
「こわい」と言って
すぐ降りてきたり
していたのですが
昨日は
自分から「やりたい」と言って
行動し
初めて襲って来る
こわさと、緊張を
一生懸命ことばにしていました。
自分が感じていることを
ことばにして、
口に出すことで
自分の気持ちを整理し、
自分を励ましているように
私には見えました。
これは、決して
Aくんだけのことでは
ないと思います。
自分の内側で考えていることは
細かく表現する必要がないため
ことばを省略したり
圧縮したりしています。
ですが
音声言語にするときに
単語を選択し
文章にするための
関連性が生まれ
自然に整理されていきます。
それによって
自分自身を
客観的に見る視点ができ
次の行動について
冷静に考えることができます。
また
自分が発したことばを
自分が聴きますから
自分で自分を
励ますこともできます。
今回、私は
そばにはいましたが
「がんばって」とも
「Aくんならできるよ」とも
言いませんでした。
自分を励まして
飛ぶ、と決めて
行動したのは、Aくん。
最も行動につながるのは
自分が自分を励まし
信じることば
なのかもしれません。
☆金子聡子の情報はメルマガを中心に発信しています
登録も解除もすぐにできるので
お気軽にどうぞ^^
-----------------------------
金子聡子LINE公式アカウント
気軽な1対1トークが可能です。