< 前回のお話 >

◆① 蝶々とジュース:大人になると、いうこと |鼓動を感じる Anne Joyの短篇小説
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嫌なことを辞めていったモノのひとつに

僕はまずテレビをほとんど見なくなった




小さなことかもしれないけれど、

嫌なことは、もう、しないんだ





それと同時に、新聞もみなくなった

僕にとっては多すぎる溢れた情報をシャットアウトしたいんだ






大人としてあり得ないだろう?!

社会の状況を把握しないのだから






でも僕は自分に正直になる!と決めたんだ

もう自分に、嘘はつきたくないんだ






自分の内なる声に、寄り添いたいだけなんだ








小さい頃から学校や親からは

「毎日新聞を見なさい!」

「テレビの報道ニュースを見なさい!」

と言われ続けてきた






だから、僕は新聞もテレビの報道ニュースも見続けた

毎日毎日…朝出かける前も夜眠る前も、見続けた






おかげで災害、事件はテレビや新聞から、いつもいち早く知ることができた






でも、テレビや新聞は、こぞって

状況の大変さにフォーカスしている記事がほとんどだな、、

ということに僕は気がついた







不安や心配事、大変さや怒りの話題や映像が多いと僕は感じた






悲しみや苦しさ、怒りのテーマの番組を放送した方が

読者や視聴者の同情をかう事ができる



しかも、容易く視聴率が大幅に上がりやすいようなのだ






例えば、報道番組では被災直後、不便さの情報を集めては

被災地日で暮らす人々の、それでもなんとか笑って暮らしている、、

ところなんて放送しないのだ






被災地でも事件直後の現場でも、

なんやかんやと、結構楽しんでるところもあるのに

他愛の無い冗談や笑顔は、みんなカットだ。




不便さ、苦しさ、悲しさにだけ、インタビューします





新聞やテレビの見る側は

それしか知らないから、よっぽどしんどい、大変だと思い

見ている側も辛くなる





変に自粛したりして、お金を使わなくなる




被災地や事件現場以外の人は、皆んな普段通りの生活をすることこそが

税金を納め、お金を回し、結果豊かさを富を分け与えることができるのだけれど







いったい、何が真実なのだろうか?









ここでお金の話題に触れたので、話しておこう






ニュース番組では

決まって、お金の問題を取り上げている






お金儲けした人が派手にお金を使うものなら、

待ってました!と言わんばかりに批判する





国家公務員の不正やお金の使い道に対してだと国民は黙ってられないからね

ここをついてお金の問題として報道は取り上げる





結局はお金持ちのお金も使ってくれた方が

巡り巡って自分たちもその恩恵を受ける事になるのだが。



富が回っていくんだけれど…




そこにまで、考えを巡らせずにいる人々が多い

お金持ちにひがんで、羨ましくてしょうがないだけなのだ





自分たちは安い給料で我慢して生活しているから

よその人、お金持ちの優雅なところが気になり、文句を言いたい




ただただ、文句が言いたいだけなのだ





人のお金の使い方に、なにかしら、いい、悪いのジャッジをつけたがる





こういう視聴者が多いからか、テレビ番組制作側もそうだからなのか

特に政治家のお金の使い道について取り上げている






僕はテレビや新聞を見終わると自分の不甲斐なさに腹を立てたし、

世の中の大人の社会に、ひどくがっかりもした



汚れきっているように思ったんだ





僕は事件を知るたびに嫌〜な、どんよ〜りとした気持ちは後にずっと尾を引くのだ。




僕が僕で居られなくなるのでは、僕は不幸だ。

僕が僕を苦しめてる根本を断ち切る。




周りを知りすぎて、自分を粗末に扱うくらいなら、

いっそ何も知らない方が僕の身のためなのである




世間からは置いてきぼりでも、僕は自分の幸せを願った

僕がいい気分でいることが僕が平和に、世界が平和になるのだと僕は気付いたのだから





情報を断ち切ったことで、僕は自由になった

仲間と話題がずれたとしても、それほど気にならなかった




彼らは、それでいいと思う

人のあれこれに関心を持ち、腹を立て、罵る





それが、あって日々頑張っていけるのだろう




それはそれでいい



でも、僕はぼくなんだ

彼らではないぼくなんだ






辺りはすっかり日が暮れていた

彼女が僕のグラスにジュースを注ごうとしたが僕は制した





僕はボトルを手に取って

静かにテーブルに置いた





そしてテーブルの脇にあるオイルランプに火をつけた


部屋中、フレグランスオイルのいい香りに包まれた



「ラベンダーの香りね」彼女が言った





テーブルの上で炎の影が踊りだし

彼女の手に僕の手を重ねた




彼女の手を感じた

ぬくもりを感じた







<つづく>