3月の読書
読んだ本の数:64
読んだページ数:5781
ナイス数:2452
◎小説のオススメはこちら!
「成瀬は信じた道をいく」
著者:宮島 未奈
前作が本屋大賞候補になり、ますます成瀬への期待は高まる。凡人なら萎縮しそうだが、成瀬も、宮島さんも、信じた道を突き進んでいて清々しい!
前作ラストで、ゼゼカラコンビの島崎と離れることになり、少し心配していたのだが、全くの杞憂! 成瀬の世界、人間関係は広がり、成瀬自身も大きくなっていた。勿論、ゼゼカラの絆も強くて嬉しい。
ユニークな新たな登場人物を含む成瀬の周囲の人の視点から描く5篇は、みな面白かった。
不満があるとすれば、面白すぎて、あっという間に読めてしまったこと(笑)
早く3巻を〜!
「この夏の星を見る」
著者:辻村 深月
1日で読み切ってしまうほど、出会えて良かったと思う作品。
内容紹介の「この物語は、あなたの宝物になる」は、登場人物に近い、コロナ禍で中高生だった人にはまさしくだろう。だが、そうでない大人にとっても、オススメしたい良書。
茨城、東京渋谷、長崎五島列島で、それぞれコロナに翻弄され、複雑な気持ちに揺れる中、思いがけず、星をめぐって繋がれることになった亜紗たち。彼らが踏み出した一歩と実現のためにした努力に拍手。支えた先生たちにも拍手。
「別れの季節 お勝手のあん」
著者:柴田 よしき
今回は、お小夜さまが主役のように思える巻だった。柴田さん、お小夜さまにここまで重荷を背負わせなくてもいいのでは?と言いたくなる。けれども、お小夜さまは負けてはいない。
そして、本当の主役であるおやすちゃんも大きな決断に迫られることになった。「別れの季節」とはこういう意味だったのか……。
時代背景もきな臭くなり、おやすの友人知人も心配になってくる。読み終えたそばから、続きが気になる。
「椿ノ恋文」
著者:小川 糸
シリーズ3。あれから6年、ポッポちゃん、子どもをふたり産み、5人家族になっていた。
シリーズ2の感想に「皆が少しいい子すぎる気もする」と書いていたが、今回は、皆 結構我がままをしている。いえいえ、そうではない。それぞれ、互いのことを大切に思っているのに、すれ違っているだけ。
亡くなっている先代やチラリと出てくるバーバラ婦人の存在感の大きいこと!
代書の手紙、全部広い意味での恋文で、皆 味があった。でも、QPちゃん自身の手紙が一番で、泣かされた。私も手紙が書きたくなった。
「今日は心のおそうじ日和 素直じゃない小説家と自信がない私 」
著者:成田 名璃子
突然バツイチになり、小3の娘・美空を連れて実家に出戻った涼子。専業主婦だったため、仕事も見つけられない。けれど、同居することになった兄夫婦、両親の本音に気づき、家政婦をすることに。
「心のおそうじ」というタイトルに惹かれていたが、実際の掃除は大の苦手の私。涼子の家事スキルはたいしたもので感心しきり。
美空がいい働きをして、涼子が一皮二皮剥けていく様子が良かった。
「凜として弓を引く」
著者:碧野 圭
娘が高校・大学で弓道をしていたので、弓道ものには惹かれる。「凛として」というタイトルも、弓道にはピッタリ! 碧野さんも好きな作家さんなので、楽しみだった。
てっきり部活物かと思っていたら、神社にある弓道場で、一般の人も一緒の弓道会が舞台。偶然の出会いだったが、人見知りの高校生・楓が弓道だけでなく、作法、マナーなども学び、成長していく姿が清々しく描かれていた。続きも是非読みたい。
◎児童書はこちら!
「保健室経由、かねやま本館。7」
著者:松素 めぐり
巻を重ねても、新たな展開を加え、飽きることなく読ませる工夫が素晴らしい。子どもたちの悩みもさまざまで、次はどういう悩みに、どんなアドバイスを送るのかと楽しみになる。
今巻は、親に捨てられ、やけになっていた一平が主役。と言っても、彼はテラジ先輩のお蔭で、キックボクシングに出会い、立ち直った。が、そこにもまた新たな悩みが……。そして、テラジ先輩もまた……。
華世子が微笑む不穏なプロローグに、先へ先へと読み進めたが……終わらない!? 今まで、1巻完結だったのに~~! 松素先生、早く8を~!
◎絵本はこちら!
「はるさんと1000本のさくら」
著者:ただ のぶこ
新聞の本の宣伝で「書店員が選ぶ絵本新人賞2023大賞」「76歳の新人絵本作家デビュー」とあり、気になっていて、桜の季節も近い今、予約。
過疎の村に住むのは、今では10人だけ。86歳のはるさんは、その中で一番若いおばあさん。おばあさんたちは、先のこと、自分たちにできることを考え、皆の好きな桜を植えようと、苗づくりを始める……。
何と前向きで、行動力のあるおばあさんたちだろう! 彼女たちの夢と行動は、やがて次の世代へと繋がってゆく。
最後の呼びかけの言葉に、にっこりするはるさんが見えるようだ。
「わすれていいから」
著者:大森 裕子
「ずかん」シリーズが有名だが、「ぼく、あめふりお」などのストーリー絵本も大好きな作家さん。だが、このリアルな印象を受ける絵は、私は初めてで、この絵とタイトルにドキッ。
子猫と生まれたばかりの男の子は兄弟のように仲良く育つ。早く大きくなった猫は兄貴気分。しかし、ゆっくり大きくなる男の子は、やがて猫を追い越して……。ラスト、もしかして?と不安な気持ちになるが、そうではない! だから安心して! それでも、うるっとしてしまうけれどね。
猫などペットを飼っている人、巣立つ子どもや孫のいる人はうるうる度高し!
「ぼくは、ういてる。」
著者:なかがわちひろ
「すてきなひとりぼっち」続編。
タイトルからは、周りから浮いている、かわいそうな子?と思うかもしれないが、表紙の絵からはそうは思えない。一平くん、素敵な風船をにぎって、微笑んでいるもの。
仲間ができ、その子に掛ける言葉を探して悩む一平くんがとてもいい。簡単に見つからないよね。そこにグッドタイミングで現れた人は最後にも驚かせてくれるから、お楽しみに!
話もいいけれど、絵も素敵! すべてを塗らず、ところどころ塗ったり、背景だけ塗ったり。いいなぁ。
「たべてみて!: フリーダ・キャプランがひろげた食のせかい」
著者:マーラ・ロックリフ、ジゼル・ポター(画)、福本由紀子(訳)
キウイフルーツって、何で鳥と同じ名前なんだろう?と思っていなかった? その答えがここにあった。まさに、その鳥に似ていたから。って当たり前?(笑)
でも、知らないもの、初めてのものって、誰でも敬遠しがち。そこに親しみを持たせ、食べてみようって気持ちにさせてくれる人がいたのだ。それがフリーダ。諦めず、挑戦し続けたフリーダ、素晴らしい。
我が家が大好きなソウメンカボチャも、フリーダのお蔭で市場に出たそうだ。ありがとう!
「ぼくのとってもふつうのおうち「ふつう」のくらしをうばわれた なんみんのはなし」
著者:コンスタンチン・ザテューポ、藤原潤子(訳)
大文字のタイトルと表紙を見ただけではわからないが、小文字の副題「『ふつう』のくらしをうばわれた なんみんのはなし」を読むと、ドキッとする。
難民の子どもが、故郷の家を思い出す。魔法でおうちを小さくして、持っていけたらいいのに。あるいは、おうちに足が生えて、一緒に来てくれたらいいのに。
ウクライナ難民との交流から生まれた絵本だそうだ。日本ではまだまだ遠い国のことと思ってしまう難民。「ふつう」であることの有難みを噛みしめ、世界中すべてが「ふつう」になってほしいと願う。
「かけはし出版」は、訳者で、大学准教授の藤原さんが、ロシアの絵本を扱うためにひとりで立ち上げた出版社。「だれのせい?」を出すために立ち上げられた「green seed books」といい、素晴らしい人たちがいるなあと感服。偶然にも、両社とも、女性。
「きみは、ぼうけんか」
著者:シャフルザード・シャフルジェルディー、ガザル・ファトッラヒー(画)、愛甲恵子(訳)
「2021年ブラチスラバ世界絵本原画展金牌」とあり、手に取った。
「ぼうけん」という言葉で、妹の背中を押していく兄。彼自身もまだ子どもなのに、生きるために必死。破壊された家から、「ぼうけんかのまち」を目指し、旅だったふたり。切なく、辛い日々。ずっと耐えて、妹を励まし続けたお兄ちゃんが「うるさい! ぼうけんは もうおわったんだ」と言った時……。
タイトルからは想像しなかった話だった。読んでみて、良かった。平和について、改めて考えたい。
「ぶぶるん ふるふる」
著者:まつもと さとみ、あずみ虫
最初のページに文字がなく、「もしかして、字のない絵本?」と思ったら、大間違い。「ぶぶるん ふるふる そらを とぶのは ヘリコプター ぶるぶる ぶぶぶぶ とんでる とんでる へり こぶたー!? 」って感じで、言葉遊びいっぱいの楽しい文章が出てくる出てくる♪ こういうの、大好物!
◎コミックはこちら!
「ぼっち育児楽しんでます」
著者:鳥頭ゆば
まさに、ぼっち育児している娘のことを考え、図書館をウロウロしていて発見。
ご主人の転勤で、友人知人のいない土地で、出産育児のゆばさん。大変なこともいっぱいだけど、タイトル通り、子育てを楽しんでおられる。
ゆばさんも、娘も、がんばれ~!
あとがきで、担当が、たかぎなおこさん担当だったカトーさん(大好き!)だったとわかり、嬉しくなった♪
盛り沢山だった3月。
ついでに風邪まで引いて、
まだスッキリしませんが(涙)
元気を出して
新年度をスタート!
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