ダン・タイ・ソンのピアノリサイタルを聴いて来た。
本人曰く、今日で紀尾井ホールでの10回目のリサイタルだそう。(私は2年前にも聴いて来た。)

あの時はあの時で、今日は今日で思ったことはあるが、今日の一番感銘したのは、「語り尽きない」美学だった。楽器を精一杯鳴らして曲を最大限のダイナミックを表現するのではなく、あえて保留したかのよう、「一番美しい、最適の音楽」を作る。時にピアノの鍵盤を押した後にビブラートを掛けるような動きも見せて、イメージとしてまるで弦楽器を演奏するようだ。翡翠のようなまろやかの光沢が放つ高音部、絹のように滑らかなスケール、お琴の弦が鳴り合うような豊かな響き。。そこに絶妙のリズムに載せるとなんとも言えない上品さを醸し出す。クラシック音楽は西洋の文化だが、音楽の真髄を乗り越えてまた東洋の美学に回帰した。そのように思った。


ホールで音楽鑑賞の醍醐味として、曲終わった後の「無声の余韻」がその一つだと思うのだが、昨日はどんな曲でもすぐに拍手が起きるのがちょっと苦手だった。


<プログラム>

シューベルト:ピアノ・ソナタ第15番 ハ長調 「レリーク」 D840
ショパン:3つのワルツ
      変イ長調 「告別」op. 69-1
      ヘ長調 op. 34-3 
      嬰ハ短調 op. 64-2
ショパン:マズルカ風ロンド ヘ長調 op. 5
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パデレフスキ:4つの小品
        メロディ op.16-2
        伝説 op.16-1 
        夜想曲 op.16-4 
        メヌエット op.14-1 
ショパン:舟歌 嬰ヘ長調 op.60
ショパン:ボレロ ハ長調 op.19
ショパン:スケルツォ第2番 変ロ短調 op.31


アンコールは念願のドビュッシーが聴けた。