晏名アサミのdraftbox -18ページ目

晏名アサミのdraftbox

他ブログやコラムになる前の下書き置き場。
ライヴ、映画、音楽、美術など触れたものに関する感想、
ふと思いついたことなどを書きなぐる場所。


ゆえに文章整ってないのと、あまり他者意識しないつもり。
その日の気分で人称違ったり、矛盾でてくるけど気にしない。

三日月の器



ブラウン管のなかで
甲高いあえぎ声をあげる女性の裸体を横目でみながら、
和季はなおも語り続けた。

太陽はすでに登りきり、
もうしばらくすれば頂上に達するだろう。
いらやしい雰囲氣とは無縁の明るさだ。


昨日は3時すぎにこの部屋に入って、
何度かして、
少し眠るつもりが大寝坊した。
休日の予定が半分つぶれた程度だから、たいしたことはない。


和季とは2ヶ月前に知り合って割とすぐに体の関係になった。
行為の前後に甘えあう感じが
なんとなく心地よくて、
なんとなく関係が続いてる。

とはいえ、和季のほうはそうでもなく、それとなく付き合いたいという意思表示をしてきた。

しかし、特定の相手の気持ちを推し量ることに飽き飽きしていた私はそのサインに気付かない振りを続けていた。

依然として和季の話は続いていた。
女性のくびれの話でどうしてこんなにも長く話せるのだろう。
角度や形まで事細かに語る。


そろそろ帰りたいと思い、こんな質問をぶつけてみた。

「そんなにくびれ好きだけど、
私はそんなにないよ。
なのにどうして寝るの?」

「それはそれ。
あなたはそれとは違うから。
つまり、好きだからそれでいいんだ」


どうしていいのかわからなくなって
曖昧に笑った。
部屋が明る過ぎてうまく笑えなかった。



いつものようにお別れをし、
いつものようにメールを送った。
ただし、またね、ではなくさよならと書いた。

いつのまにか、器から溢れ出た水が零れ落ちていた。
九月の風



九月の風が好きだ。
日中はまだ夏の余韻があって乾いた感じだけど、
日が沈むと同時にすうっと熱気を攫う風。

攻め一方だった動きに訪れる理性。
クールダウン。
改めて自分を客観的にみるとき。

人間の年齢でいうと30~35ぐらいなのかな、って最近思う。


自分のやってきたこと。
これからやっていきたいこと。
責任、衰え。
受け入れることが、昔より簡単になっている。

夏の熱情をとじこめて、
実っていくための静かなとき。
白鳥の歌



夏の夜はいつまでも騒がしい。
眠る暇がない。

草むらも木も風もざわついている。
いっこうにねむるけはいがない。

いつか
大地全体が飛び立つんじゃないかと
想像してみる


水面下の白鳥のように、
飛んでいった大地から足がつきでて
ばたついているのを想像して
笑いが止まらなくなった。